男性と女性は違う惑星から来ているという考えは、異性関係でうまくコミュニケーションをとる妨げになる。性差(ジェンダー)に関する考えが古いタイプは、男性と女性を『カテゴリー』として扱い、希望、願望、夢を共有する個人として扱わない。

ジェンダーの固定観念を乗り越えるため、男性と女性のコミュニケーションについて典型的な考え方をいくつか紹介する。

  • 女性は男性よりも多くしゃべる。
  • コミュニケーションは男性よりも女性の方が重要である。
  • 男性は物事を成し遂げるために話すが、女性は感情的なつながりを作るために話す。
  • 男性は物について話し、女性は人、関係、感情について話す。
  • 男性は情報を与え、独立と地位を維持・競争するために言語を使用するが、女性は平等と調和を好むため、協力関係を強化するために言語を使用する。

一部の人々にとって、男性と女性がどのようにコミュニケーションをとるかについて上記のような考えは、ジョン・グレイ氏の『男は火星から、女は金星からやってきた』や、デボラ・タネン氏の『You Just Don’t Understand: Women and Men in Conversation』などの出版で疑いの余地ない情報となった。

それは、タネン氏は言語学者の権威であり、言語、コミュニケーション、性に関する約30年間の研究で広く議論されているにもかかわらず、男性と女性に関する白黒つけた考えを擁護している人物だからである。

男と女はどちらが多く話すのか

2006年に出版された『女性の脳』において、Louann Brizendine(ルーアン・ブリゼンディン)医師は、女性は毎日約20000語を話すが、男性は約7,000語を話すと主張している。

ペンシルベニア大学の言語学教授であるMark Liberman(マーク・リベルマン)氏は、このような主張を裏付けるため、調査することにした。リベルマ氏が発見したのは、男性と女性がどれだけ話をしているかについての記述は、その記述に関連する学術的な引用はなく、自己啓発書から来ているということだった。

同様の主張を検討したところ、女性の語数は4,000から25,000語に及んだとのことだが、やはり主張を裏付ける研究はなかった。

ルーアン・ブリゼンディン
Louann Brizendine氏。Adam Nadel Via:The New York Times

リベルマン氏が新聞記事でブリゼンディン氏の研究を指摘したとき、ブリゼンディン氏は主張を撤回し、将来の版から削除されるだろうと述べた。

しかし、この一般的に知られたステレオタイプな考え方は人々の記憶に残るため、撤回しても同じ印象は得られない。これは、男性と女性に関する神話が、事実上ステータスを獲得してしまったからだ。

性別ではなく地位の問題である

言語学研究者のDeborah James(デボラ・ジェームズ)氏と社会心理学者のJanice Drakich(ジャニス・ドラキッチ)氏が全56の研究を検証したところ、女性は男性よりも話すという結果を示した研究は2つしかなく、34の研究では男性が女性よりも話したという結果が出ている。

16件の研究は同じように話しており、4つは明確なパターンを示していなかったとの結果が出た。

グラフで割合に換算すると、以下のようになる。

男女話量
男女の会話量において、全56研究を検証した結果。

このレビューでは、会話の量は、会話がどのような設定で行われたかによって、つまり〈人の状態に最も関連している可能性が高い〉ことが示された。

つまり、公的な場でより多く話す人は、より高い地位にある人ということである。

地位

ワシントン大学の上級データアナリストであるBobbi Carothers(ボビー・キャロザーズ)氏とロチェスター大学の心理学教授であるHarry Reis(ハリー・レイス)氏が2007年に実施した研究は、ジェンダーを再定義する理論の必要性を示している。

キャロザーズ氏とレイス氏は、有意な性差を示した13の研究からデータを再分析し、

  • 関係の相互依存性
  • 親密性
  • 性的能力
  • 合意可能性
  • 情緒的安定性
  • 良心性

などの、様々な心理学的指標に関するデータを収集した。

異なる3つの統計的手法を用いて、男性と女性を明確に区別できる尺度を探した結果、次のことが判明している(当たり前のことと思われていることだ)。

  • 身長、肩幅、周囲長、ウエスト/ヒップ比などの特徴に関して、男性と女性は異なる群に分類される。
  • 性別は、スクラップブックや化粧品(女性)、ボクシングやポルノ動画鑑賞などのステレオタイプ的な行為(男性)への関心を確実に予測する。

研究者はさらにデータを調べ、特定の心理的特性に基づいて男性と女性を区別できるかどうかを確認した。

その結果、次のことが判明した。

  • 成功への恐怖、配偶者選びの基準、共感などの心理的特性のほとんどは、男女とも同じである。
  • 特定の人(例えば男性)は、1つの尺度(攻撃性など)で定型的な方法でスコアを付け、別の定型的な特性(数学能力など)で低いランクを付けることができる。

心理的特性に関し、男性と女性の間の重複は非常に大きいため、特性に基づいて男性と女性を別々のカテゴリーに分類することはできない。

キャロザーズ氏とレイス氏は、男性が共感的だったり、女性が数学が得意なのは、決して珍しいことではないと指摘した。

重要なこと

マスメディアや一部の学界が男女間の本質的な違いを強調することは、婚姻関係の文脈では有害だ。性差の固定観念に固執することは、パートナーを個人として見る妨げになってしまう。

認識、感情、考え、希望、夢を共有するのは男性や女性というカテゴリーではなく、『個人』として見ることである。

まとめ

本記事のポイントは次のとおり。

  • 男女間のコミュニケーションについて、古い固定観念に気をつけるべきである
  • マスコミやメディアは常に性の違いを強調するものである
  • 男性、女性というカテゴリーではなく、あくまでも個人である
  • パートナーを「理解する」することが重要である
  • 多く話すかという点では、ジェンダーよりも地位の方が重要である可能性が高い

参照:psychologytoday

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