生殖器はセックスにおける重要な部分であるが、セックスから生まれる快感は多くの身体の部分と関連している。快楽を伴うセックスは脳に大きく依存しており、脳は性的快楽を支えるホルモンを放出し、刺激を快楽と解釈する。

2016年のある研究では、脳が最も重要な生殖器官である可能性が示唆されている。著者は、オーガズムは脳内で催眠のような状態を引き起こす可能性があり、感覚認知の亢進状態(こうしんじょうたい)であることを発見した。

本記事では、セックスが身体と脳に及ぼす影響と、これらの影響がセックスをどのように感じさせるかを検討した。また、なぜセックスがうまくいかないのかについても考察している。

セックスがもたらす身体への影響

セックス

1960年代、性科学者のウィリアム・マスターズ氏とバージニア・ジョンソン氏は、性的興奮には4つの異なる段階があり、それぞれが身体へ独特の影響を及ぼすことを明らかにした。

彼らの研究により、性的反応を説明するにあたり以下4つのカテゴリーが一般的に使用されるようになっている。

  1. 欲望や興奮
  2. 安定
  3. オーガズム
  4. 消散

1.欲望や興奮

欲求期では、陰茎、腟、骨盤、外陰部、クリトリスといった組織が血液で満たされていく。これにより、各部位は神経の感受性が高まる。また、血流によって腟を滑らかにする膣分泌液も作られる。

全身の筋肉が収縮し始め、血流が増加して呼吸が速くなったり、皮膚が赤くなったりする人もいる。

2.安定(プラトー)

プラトー期には、人の興奮はさらに強くなり、腟、陰茎、クリトリスの感度が高まる。

この時期には、人の感受性や覚醒にバラツキが生じることもある。覚醒と関心は減少し、増大した後再び減少するといった事を繰り返す。

3.オーガズム

適切な刺激と精神状態であれば、オーガズムに達することがある。

ほとんどの女性にとって、陰核部(クリトリス)が刺激される事はオーガズムへの最速かつ最も効果的な経路である。また一部の人にとっては、陰核部への刺激がオーガズムへの唯一の道だ。男性では、陰茎自体または陰茎頭部への長期的な刺激が必要となることがある。

ほとんどの男性はオーガズムの間に射精するが、射精せずにオーガズムを得ることも可能。オーガズム時に射精(体液を射出)する女性もいるが、この液体は依然として科学的に議論されている物質である。

男女ともに、オーガズム時では強い筋収縮を経験する。

男性は直腸、陰茎、骨盤の収縮を経験し、女性は腟、子宮、直腸の収縮を経験する。全身に陣痛が起こる人もいる。

4.消散

オーガズムの後、筋肉は弛緩し、身体は徐々に覚醒前の状態に戻る。

この過程は雄と雌で異なる。ほとんどの男性は射精直後でオーガズムを得られないが、多くの女性はオーガズムを得る事が可能だ。

消散期には、ほとんどの男性と多くの女性が不応期を経験する。この間は性的刺激へ反応しない。

その他のモデル

セックスの段階に関して、一部の研究者は代替モデルを提案している。

Karen Brash-McGreer氏とビバリー・ウィップル氏の循環モデルでは、女性にとって満足のいく性的経験は、すぐに別の似た経験につながることを示唆している。

また、ローズマリー・バソン氏は女性の性的反応において非線形モデルを提案している。彼女のモデルは、女性は数多くの理由でセックスをしている事と、性的反応が予測可能な段階に従って進行しない可能性もある事を強調している。

陰核は、ほとんどの女性にとって性的快楽の起点である。神経終末が数千もあるため非常に感度が高い。陰核の一部は腟の奥まで広がっているので、腟の刺激を介して間接的に陰核を刺激することができる。

男性の場合、陰茎の先端は陰核と似ており、多くの場合で最も敏感な部分となっている。

セックスがもたらす脳への影響

セックス

セックスで快感を感じるために、脳は性的な感覚を快感と解釈しなければならない。

体の性的な領域にある神経は脳へ特定の信号を送り、脳はその信号を使ってさまざまな性的感覚を作り出す。

神経伝達物質は、脳と体の他の部分との情報伝達を助ける化学伝達物質だ。性的快楽に関与する神経伝達物質はいくつかある。

  • プロラクチンの値は、オーガズム直後に上昇する。このホルモンは、不応期を説明する性反応の低下と関係している可能性がある。
  • ドーパミンは動機づけと報酬に関係するホルモンだ。性的興奮を高め、欲求段階で体がドーパミンを分泌する。
  • オキシトシンは愛や絆のホルモンとしても知られており、親密さやその感情を促進する。オーガズム食後、体はオキシトシンを放出する。
  • 興奮している時には、幸福感や幸福感を支えるセロトニンが放出される。
  • ノルエピネフリンは血管を拡張および収縮させ、性器の感度を高める。体は性的刺激を受けるとノルエピネフリンを放出する。

良くないセックスの理由

セックスは誰にとっても楽しいものではない。実際、セックス中に痛みを感じる人もいて、これは特に女性で多い。

女性の約75%が、生涯のある時点で性交渉中に痛みを経験すると報告している。

アメリカの女性の約10〜20%が、定期的に性痛または性交疼痛(とうつう)を経験する。

女性の性的疼痛の一般的な原因には、以下のようなものがある。

  • 外陰痛。性交渉中や性交後に痒みや灼熱痛を引き起こす慢性疾患
  • 酵母感染症などの膣感染症
  • 筋肉の損傷または機能不全。特に出産後の骨盤底による損傷
  • 膣の乾燥や痛みを引き起こすホルモンの変化

男性も性交時に痛みを感じることがある。一般的な原因には次のものがあります。

  • 包茎などの陰茎の構造的異常
  • 感染症
  • 前立腺炎など、前立腺の問題

異性に対して性的な魅力を抱くことが無いアセクシュアル(無性愛)である人は、セックスを望んだり、セックスによる喜びを経験することはない。

同性愛者だと認識している人は、パートナーと恋に落ちたときなど、限られた状況でのみ性的快感を経験することがある。

性別や性的指向に関係なく、性的快感に影響を及ぼすその他の要因には、以下のようなものがある。

  • 潤滑剤(膣分泌液やローション)の不足による性交痛
  • 性的な脅威や苦痛を感じさせられた、外傷や虐待の病歴
  • 興奮の欠如
  • セックス自体やパートナーへの退屈感
  • 人が持つ特定の性的欲求や興味に適合しない性的相互作用(要するに特殊なフェチと合わない)
  • 性感染症

以下のような場合は、性的な痛みや不快感について医師に相談した方が良いだろう。

  • 痛みは時間とともに続いたり、よりひどくなる
  • 潤滑剤(ローション)の使用量を増やしたり、位置を変えたりするなどの戦略が機能しない
  • 排尿時の痛みや異常な腟出血など、他の症状を伴う痛み
  • 痛みは、怪我や出産、医療処置の後に続いている
  • 一部の人、特に女性は、医師が性的な痛みを無視したり、すべて心の問題であると言われたと報告している。医療関係者による繊細で迅速なケアを受けられない人は、医療機関を切り替えるか、セカンドオピニオンを求めるべきである。

セックスで傷つく必要はなく、たいていの場合は解決策がある。知識と思いやりのある医療関係者が、きちんと問題の診断と治療に専念するべきである。

楽しく安全なセックスのためのヒント

信頼できるパートナーとの明確なコミュニケーションは、パートナーが自分のニーズを理解するのに役立つので、セックスをより楽しいものにすることができる。

2018年の研究では、男性と女性の間で有意にオーガズムの差があることが明らかにされ、女性のオーガズムを増加させる戦略が確認された。

これには、次のような戦略がある。

  • 口による性交や手による性器への刺激
  • 長い時間をかけて行うセックス
  • パートナーとの関係の満足度
  • 空想や性欲を議論すること
  • セックスで愛を表現すること

正確な数は出てこないため、研究の推定値は様々である。ほとんどの女性は陰核を刺激されないとオーガズムを得られない。

一部の女性は、上に被さるなど特定の性的姿勢からの間接的な刺激で十分だったりする。また、性交中や性交とは別の直接的で持続的な刺激が必要な場合もある。これは正常かつ一般的であり、女性は陰核への刺激の必要性や要求を恥じるべきではない。

男性は長く続くセックスをした際に楽しむ傾向にあるが、これは時間の経過とともに快感が得られることと、女性パートナーがオーガズムに達する確率が高くなるためだ。深呼吸は男性の射精を遅らせるのに役立つことがあり、また感覚が強くなりすぎると遅くなることもある。

勃起自体や勃起を維持したりするのが困難な人は、運動を行うと血流が増加するため性的能力が改善される。シルデナフィルなどの勃起不全治療薬(バイアグラ)も有用なことがある。

性的潤滑剤(ローション)を使用すると、性器間の摩擦が減るので性生活が改善されることもある。潤滑油は多くの店やオンラインで購入できる。

また、骨盤底訓練はオーガズムに関与する筋肉を強化するので、男女ともにオーガズムを強くし、タイミングをコントロールしやすくする。

骨盤底を鍛えるには、尿の流れを止める筋肉を締めるようにする。レストルームへ行ったとき、途中でやめたり、また始めたりして練習する人もいる。また、スクワットなども良いだろう。

>> 骨盤底のエクササイズの詳細はこちら

場合によっては、理学療法士との面談が必要になることもある。理学療法士は、性を向上させ、十分に楽しむためのヒントやアドバイスを提供してくれるだろう。

参照:medicalnewstoday

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