魅力的な「おっぱい」とは?

おっぱい
Image by Eliane Meyer from Pixabay

胸のサイズに対する『オスの好み』は、進化と適応を反映していると考えられています。

これを最もらしく説明するためには、魅力的とされる特徴が、女性の潜在的な生殖能力や健康への、手がかりとなることを示さなければなりません。

しかし、好みの大部分は文化的に判断されている可能性があり、それはメディアが売りにしている『女性美』という概念かもしれないのです。

胸は大きい方がいいのか

1960年以来、多くの研究が女性の乳房の魅力を、特にサイズに関して評価してきました。

Jerry Wiggins氏とその同僚による初期の研究(1968)では、男性へ、女性の胸、尻、脚に対する好みを裸のシルエットを使ってテストされました。

テストでは、95人の男性が、身体部位において異なるサイズの対画像を評価しました。

主な目的は、好みに関連する性格特性を同定することでしたが、いくつかの興味深い情報が明らかになっています。

男性は、大きな乳房の方が、小さい乳房より魅力的であると評価しましたが、提示された最大の乳房より、中程度のサイズが好んでいました。

おっぱい
上:Wigginsらが使用したテストシルエットの例(1968)および4つのカテゴリの乳房の魅力の相対スコアのプロット(-2 =平均よりかなり低い、-1 =平均より低い、(1 =平均より高い、2 =平均よりかなり高い)下:SwamiとTovéeが使用したテストシルエット(2013)、5つの胸部サイズカテゴリの好みを示すヒストグラム

その後発表された胸の大きさの魅力度評価は、大きな胸、中くらいの胸、小さな胸で好みを評価したが、矛盾が発見されています。

全体的に、男性は圧倒的に中型の胸が最も良いと評価しました。

代表的な例として、Viren Swami氏とMartin Tovée氏による2013年の論文は、3Dモデルを使用した研究について報告しています。

これにより、Wiggins氏らの当初の発見に近い評価が得られました。

5つの異なる乳房のサイズから、男性の3分の1は中程度が最も魅力的だと評価しました。大きな乳房を好むのは4分の1だけで、非常に大きな乳房を好む男性は10人に1人しかいません。

社会的影響を特定するために、Swami氏とTovée氏はロンドンのコミュニティでイギリスの白人男性を調査しました。

Swami氏らは、より大きな胸を好むことが、性差別、客観性、敵意に対し大きい傾向と関連していることを発見しました。

異文化間の視点

異文化間の研究のみが、社会規範に関係なく一貫した反応を明らかにすることができるはずです。

Barnaby Dixson氏らによる2010年の論文は、文化間の差異という重要な問題へ明確に取り組んみました。

質問を用いて、ニュージーランド、サモア、パプアニューギニアの200人以上の男性について、検査画像における女性の乳房の好みが評価されています。

1つ明らかな発見は、パプアニューギニア人はニュージーランド人よりも大きな胸を好みますが、サモアの男性は中程度でした。

興味深いことに、未婚男性と既婚男性では好みが異なっていました。

ニュージーランドでは、独身者は主に中くらいの乳房を好み、既婚男性はより大きな乳房を好んでいました。

また、文化の違いも現れています。

サモア人はニュージーランド人のように未婚男性と既婚男性を区別しており、全体的には大きな胸の方を強く好んでいたからです。

これとは対照的に、パプアニューギニアでは未婚男性と既婚男性の差はほとんどなく、どちらも大きな乳房を好むようでした。

おっぱい
ニュージーランド、サモア、パプアニューギニアの3つの異なる文化圏における、女性の胸に対する男性の反応を示す図。左:3つの異なる乳房サイズ(小、中、大)を反映した女性の胴体テスト画像。皮膚の色は、3つの母集団の局所的な平均状態を反映するように調整されている。右:各母集団の未婚および既婚男性が示す胸のサイズの好みを示すヒストグラム。パプアニューギニアのパターンは、ニュージーランドとサモアで見られるものとは著しく異なることに着目しよう。

より広範なアプローチとして、Jan Havlíček氏による2017年の論文では、ブラジル、カメルーン、チェコ、ナミビアの4文化圏において、女性の乳房の大きさと形状に対する男性の好みが調査されました。

乳房の弾力(硬度)は、年齢と出産とともに低下することから(若いほうが張っている)、著者らは若い女性の乳房の大きさが潜在的な妊孕性(妊娠しやすさ)を示すのに対して、乳房の硬度はその後の残存妊孕性を示す可能性があると提案しています。

研究者らは、文化を超えて、男性は乳房の「大きさ」と「硬さ」の両方に好みを示すだろうという仮説を立てました(形に影響を与えるから)。

おっぱい

試験では、乳房の大きさが異なる図と、乳房の硬さの程度が異なる図という2種類の画像を用いました。

サイズの好みは様々ですが、大部分の評価者は中程度の乳房を好み、それは大規模な支持を得ていました。

つまり、男性は一般的に中程度の大きさの乳房を好むという事が異文化間でも確認されているのです。

Havlíček氏らは、4つの文化において、弾力ある乳房を一貫して好むことを確認し、形状は残存生殖能力を示すという考えを支持しました。

おっぱい
ブラジル、カメルーン、チェコ、ナミビアの4つの異なる文化圏における女性の胸に対する男性の反応を示す図。上:Dixsonらのオリジナルモデルに基づき、3つの異なる乳房サイズ(小、中、大)を修正したテスト画像。下:各テスト母集団の男性が示す、胸のサイズの好みを示すヒストグラム。カメルーンは大きな胸を好む例外であり、中型の胸を好む傾向が強いようだ。

乳房の大きさとホルモン

補足的な証拠として、ホルモンレベルと胸の関係を示していきます。

2004年、Grazyna Jasieenska氏らは、24~37歳のポーランド人女性100人以上を対象に、月経周期全体にわたってホルモンをモニタリングした結果を発表しました。

大きな乳房と女性ホルモンであるエストラジオール(優性エストロゲン)との間には、小さいが有意に正の相関が認められています。

「大きな乳房」と「細いウエスト」の両方を持つ女性は、他の組み合わせである女性より、約3分の1エストロゲン値が高かったのです。

この差異は、男性が女性の生殖能力を評価することを可能にするかもしれません。

Susan Lipson氏とPeter Ellison氏が1996年に発表した研究で、妊娠を目指す女性は、エストラジオールのレベルが、受胎が起こったタイミングで有意に高いことを明らかにしています。

これを引用し、Jasienska氏らは、乳房が大きくウエストが細い女性はエストロゲン値が高く、妊娠の可能性が高いことを示すと提案しました。

おっぱい
女性の月経周期全体のエストラジオール(エストロゲン)のレベルを示すグラフ(乳房の大きさでグラフ化)。エストラジオールのレベルは、特に排卵後の後半で、大きな乳房を持つ女性が高くなる傾向にある。位置は、排卵の推定時間(0日目)に対して示されている。

10年後、Rachel Grillot氏らは、女性の身体的魅力と、解剖学的指標およびホルモン指標に関する追跡調査の結果を報告しました。

Grillot氏らは、平均19歳の女子学生33人における1〜2回の月経周期でホルモンレベルをモニタリングし、Jasieenska氏らを超える2つの重要な点で評価しました。

まず、両性別の学生は、魅力を評価するために参加者自身の体を、匿名写真で評価。

次に、ボディマス指数(BMI、ヒトの肥満度を表す体格指数)を使用し、魅力との相互作用を評価しました。

Jasiennska氏らとは対照的に、Grilllot氏らは平均ホルモン濃度と乳房の大きさとの間に有意な相関を認めていません。

ただし、この調査のサンプル数は小さく、また平均年齢は10歳若かいものとなっています。

しかし、魅力度とBMIの間には負の相関が認められ、Grilllot氏らが分析を行ったところ、魅力度スコアとエストラジオール値との間に正の相関が認められました。

最終的に、Grillot氏らは、Jasianska氏らの結果に似た結果に達しています。

サンプル数の違いにかかわらず、ホルモンレベルと女性の魅力に関する2つの研究は、効果的な異文化間比較を欠いているという点で、同様の弱点を共有しています。

乳房と外科手術

世界中で、多くの女性が乳房の大きさや形を変えるため、美容整形を行っています。

レポートによると、最大の需要はブラジルにありますが、他の地域でも一般的なものとなっています。

米国形成外科学会による2018年の形成外科統計レポートによると、乳房拡大手術は2006年以降、アメリカの美容整形術でトップに位置していました。

2018年には313,000件の手術が記録され、2017年に比べて4%増加しています。

しかし、美容的乳房修正には、『拡大』だけでなく『縮小』も含まれることに注意が必要です。

2017年と2018年は、審美的(美を的確に見極めようとするさま)な理由で、約43,600件の『乳房縮小』が実施されています。

なお、『乳房拡張』は『縮小』の7倍多いです。

上:豊胸手術の標準的な場所。下:シリコンインプラントを示すMRI画像。

Elizabeth Didie氏とDavid Sarwer氏による2003年の論文では、美容的乳房拡大手術を受けることを決めた20数人の女性を対象にした、アンケート調査の結果が発表されています。

手術を希望しない女性との比較されました。

豊胸手術を希望する者は、自分の乳房に大きな不満を感じていました。

しかし、2つのグループの女性は、自分の身体像に対する全体的な不満や社会文化的影響の認識に関して違いはありませんでした。

全体的に見て、豊胸手術を希望する女性は、主に自分の乳房に対する感情によって動機づけられているように見えます。

つまり、周囲や文化の影響は小さいと予想されるというわけです。

したがって、『パートナーの期待』や『美の社会文化的表現』など、直接的または間接的な外的影響はそれほど重要ではありませんでした。

まとめ

女性の母乳生産能力は、妊娠前の乳房の大きさとは無関係であります。

大切なのは、妊娠中に大きくなるということです。

女性の乳房に対する男性の反応を、生殖能力という観点から進化的に説明するには、別のモデルが必要だと思われます。

しかし、女性の乳房サイズに関する多くの研究から得られた重要な知見の1つは、男性は「大」ではなく「中」程度のサイズを好むということ。

中 > 大 > 小

調査結果に基づく男性が好む乳房の大きさ

これは、豊胸手術に対する広範な需要と直接関係します。

女性の主な動機は、男性が好むであろうという推測ではなく、自分の身体をどう認識しているかのようです。

おっぱい

女性の乳房の大きさに対する男性の好みを、何らかの進化的機能を有する受胎能指標に関連付けるために、様々な試みがなされています。

しかし、このような選好は文化間で大きく矛盾しているため、進化的視点を明確に認識することはできません。

さらに、BMI、乳房の弾力と形状、乳頭や乳輪の特徴、男性の婚姻状態など、複数の複雑な変数により、簡単な説明は不可能です。

References

  • American Society of Plastic Surgeons (2019) 2018 Plastic Surgery Statistics Report (pp. 25). Arlington Heights, IL: American Society of Plastic Surgeons.
  • Didie, E.R. & Sarwer, D.B. (2003) Factors that influence the decision to undergo cosmetic breast augmentation surgery. Journal of Women’s Health 12:241-253.
  • Dixson, B.J., Grimshaw, G.M., Linklater, W.L. & Dixson, A.F. (2011a) Eye-tracking of men’s preferences for waist-to-hip ratio and breast size of women. Archives of Sexual Behavior 40:43-50.
  • Dixson, B.J., Vasey, P.L., Sagata, K., Sibanda, N., Linklater, W.L. & Dixson, A.F. (2011b) Men’s preferences for women’s breast morphology in New Zealand, Samoa, and Papua New Guinea. Archives of Sexual Behavior 40:1271–1279.
  • Grillot, R.L., Simmons, Z.L., Lukaszewski, A.W. & Roney, J.R. (2014) Hormonal and morphological predictors of women’s body attractiveness. Evolution & Human Behavior 35:176-183.
  • Groyecka, A., Żelaźniewicz, A., Misiak, M., Karwowski, M. & Sorokowski, P. (2017) Breast shape (ptosis) as a marker of a woman’s breast attractiveness and age: Evidence from Poland and Papua. American Journal of Human Biology 29,e22981:1-8.
  • Havlíček, J., Třebický, V., Valentova, J.V., Kleisner, K., Akoko, R.M., Fialová, J., Jash, R., Kočnar, T., Pereira, K.J. Štěrbová, Z. Corrêa Varella, M.A., Vokurková, J., Vunan, E. & Roberts, S.C. (2017) Men’s preferences for women’s breast size and shape in four cultures. Evolution & Human Behavior 38:217-226.
  • Jasieńska, G., Ziomkiewicz, A., Lipson, S.F., Ellison, P.T. & Thune, I. (2004) Large breasts and narrow waists indicate high reproductive potential in women. Proceedings of the Royal Society of London B 271:1213-1217.
  • Lipson, S.F. & Ellison, P.T. (1996) Comparison of salivary steroid profiles in naturally occurring conception and non-conception cycles. Human Reproduction 11:2090-2096.
  • Swami, V. et al. (2010) The attractive female body weight and female body dissatisfaction in 26 countries across 10 world regions: Results of the International Body Project I. Personality & Social Psychology Bulletin 36:309-325.
  • Swami, V. & Tovée, M.J. (2013) Men’s oppressive beliefs predict their breast size preferences in women. Archives of  Sexual Behavior 42:1199-1207.
  • Wiggins, J.S., Wiggins, N. & Conger, J.C. (1968) Correlates of heterosexual somatic preference. Journal of Personality & Social Psychology 10:82-90.

参照:Psychologytoday

You May Also Like
犬と猫
続きを読む

犬や猫は孤独を癒やすのに優れているか?

経済成長が鈍化してきた現代社会は、人口の構成において変化が起きている。 特に高齢者の割合が増加しており、今後数十年間で大幅に増加すると予想されている。例えば、北米では現在、65歳以上の人口が14歳以下の人口を上回っている…