非常にコストパフォーマンスが良いと聞いて、海外VPSの『Vultr』を使用してみたのでレビューします。
結論からいうと、非常に快適でした。
海外サーバーなので、日本の制約に縛られずサイトを運用出来るかもしれません(個人の判断でお願いします😇)。
Vultrとは
Vultrは、クラウドサーバー、ベアメタル、ストレージといったサービスを展開するVultr Holdings Corporation提供の事業です。
非常に小規模なマシンから提供されているため様々な用途によって柔軟に使用でき、月2.5ドルから仮想環境を手に入れることができます。
クラウドサーバーは一般的なVPSと異なり、通常の「Cloud Compute」、チューニングした「High Frequency Compute」、非常に高スペックなベアメタルクラウド「Bare Metal」が提供されています。
他にも、専用クラウドや自社環境と連携できるサーバーなどがあり、非常に面白いです。
企業で管理する場合はSingle Sign-On(SSO)を使用できるので、Onelogin、Okta、Googleログインを実装することで、情シス管理が楽になると思います。
Vultrを以下から登録して使うと50ドル分(100ドルにアップ)のコンピューティングリソースがもらえます。
特徴
簡単に特徴を書いていきます。
世界16箇所にあるデータセンター
Vultrは、世界中にデータセンターを持っているので、ウェブサイトが一番見られる地域に近い場所を選べます。
もちろん、東京もあります。サーバーの場所とアクセスされる場所は近いほど良いです。
強固なネットワーク
世界中にあるデータセンターから低レイテンシーで接続されるよう、ルーティングおよびピアリングが最適化されています。
また、プライベートIP(1つ)を無料で使用できるのも大きなポイントです。
扱いやすいコントロールパネル
コントロールパネルが非常に綺麗で洗練され、使いやすく見やすいです。
デプロイからサーバーの管理、使用率のグラフなど、利用者の事をよく考え作られているなと感じました。


柔軟なOSオプション
CentOSやUbuntuだけでなく、Fedora、Windows、FreeBSDなどと様々なOSを選択できます。
使い慣れた環境でVPSを使用できるのは非常にうれしいです。しかも、値段は同じ!

ワンクリックアプリ
おなじみのcPanelやDocker、Drupal、Gitlab、Magento、WordPress、Minecraft、OpenVPNといったアプリケーションが、1クリックでデプロイできます。
これは際立った特徴ではありません。比較すると、MongoDBやKubernetesがあるなどDigitalOceanの方が多いです。
ここは、一般的なものを用意してあるだけで、今後拡大といったところでしょう。

ISOのアップロード
面白いのが、すでに用意されているOSだけでなく、好きなISOファイルをアップロードできるところ。
Arch Linuxなどでこだわりたい人に向いていると思います
んで、デプロイする値段は変わりません。
コンピューティング
では、ウェブサイトのデプロイで主に使用するクラウドコンピューティングについて書いていきます。
基本的に、我々が使用するのは『Compute』か『High Frequency Compute』になるので、それぞれの環境(ストレージや値段)と性能はどの程度異なるのか、比較してみました。
比較対象は、メモリ1GB(1024MB)のクラウド。
環境
Nomal | High Frequency | |
Storage (GB) | 25 | 32 |
CPU | 1 | 1 |
Memory (MB) | 1024 | 1024 |
Bandwidth (TB) | 1 | 1 |
Price ($/mo) | 5 | 6 |
パフォーマンス
Nomal | High Frequency | ||
Geekbench | Single Core | 2523 | 6375 |
Multi Core | 2413 | 6017 | |
Integer | Single Core | 2558 | 6488 |
Multi Core | 2492 | 6455 | |
Memory | Single Core | 2734 | 6736 |
Multi Core | 2122 | 5056 |
月額の差がわずか1ドルしかないのに、数値が全然違います。
1つ上のメモリ2GBでは、『Compute』:『High Frequency Compute』= 10ドル : 12ドル。
これは、圧倒的にスペックが良いHigh Frequency Computeを選択するのが妥当ですね。
デプロイ
では、ここからWordpressのデプロイまでを解説してみます。
といっても、ワンクリックアプリで提供されているので案内に従うだけです。
リソースの選択
右上にある「+」ボタンから、新規でデプロイしていきます。

サーバーの種類を選択します。パフォーマンスが断然良いので、よほどケチでなければHigh Frequency Computeを選択したほうが良いです。
アプリケーションの選択
VultrのOne-Click Appsとして提供されているWordPressは、UbuntuベースのNginxサーバーという構成。
レンタルサーバーやVPSで使用されているWordPressの多くはApacheですが、Nginxの方が使用メモリが少なく、高速であると言われています。
WordPressのインストール
ワンクリックアプリからWordPressを選択したら、3タップほどしてデプロイするだけです。
デプロイし、インストールが完了すると「Instaling」が変更します。大体1分程度です。

「Runing」に変わったらデプロイ完了です。

「Manege」をクリックしてサーバーの詳細を見ていきます。
SSHで接続する際、IPアドレス、Username、Passwordが必要なので、パスワードマネージャーなどに控えておきましょう。

WordPressをインストールするため、サーバー詳細下部にある案内を見てみます。IPアドレスにアクセスすると自動的に「/wp-admin/」へリダイレクトされます。

以下のようなポップアップが表示されたら、指定されたUserとPassを入力しインストールしていきます。

ログインすると、WordPressのインストール画面が表示されます。
言語を設定しましょう。

サイトの名前、ユーザーネーム、パスワード、メールアドレスを入力すれば、ひとまずインストールは完了です。ただし、このままではドメインの設定ができていません。

DNSを管理しているプロバイダーで、IPアドレスをAレコードに追加しておきましょう。
SSL化
ドメインをDNSプロバイダーのAレコードに追加したら、SSL化させます。
今どきのウェブサイトであれば、https://接続は必須といっていいからです。
ドキュメントの通りに行っていきます。
SSL証明書の発行を行うのは、無料で使えるおなじみのLet’s Encryptです。ありがてぇ!
SSHでログイン
デプロイすると与えられるIPアドレス、Username、PasswordでコンソールからSSHでログインしていきます。
ssh [email protected] enter password : [email protected] #
Nginxを停止
service nginx stop
ドメインの設置
vi /etc/nginx/conf.d/wordpress_http.conf # Replace the underscore "_" after server_name to your domain name. server_name example.com www.example.com; vi /etc/nginx/conf.d/wordpress_https.conf # Replace the underscore "_" after server_name to your domain name. server_name example.com www.example.com;
エスケープを押し、Aなどの文字を押すと編集可能になります。編集が完了したら再度エスケープを押し、「:wq」で保存します。
Certbotをダウンロード
sudo add-apt-repository ppa:certbot/certbot sudo apt-get update sudo apt-get install python-certbot-nginx
SSL証明書を入手しインストール
certbot --nginx --redirect
Nginxをリスタート
service nginx start
SSL証明書を更新
certbot renew
以上。非常に簡単です。
ドメインを設定
設定画面にある、「WordPress アドレス (URL)」と「サイトアドレス (URL) 」を「 https://example.com」に変更します。
これは、IPアドレスをAレコードとして設定済みである必要があります。
ログインプロンプトの削除
「https://ドメイン/wp-admin
」あるいは「https://ドメイン/wp-login.php
」にアクセスすると、表示されるログインプロンプトがウザいので、nginxの設定から削除してあげます。
ssh
でrootログインする- バーチャルホストファイルのバックアップを作成する:
cp /etc/nginx/conf.d/*.conf /root/
/etc/nginx/conf.d/wordpress_http.conf
と/etc/nginx/conf.d/wordpress_https.conf
に記載されているlocation ^~ /wp-admin/
以下15行の記述を削除する- 保存したら
systemctl restart nginx.service && systemctl restart php7.2-fpm.service
でNginxとPHPを再起動する
以上です。
まとめ
非常に安価で高スペックなWordPress環境が完成しました。例で紹介したコンピューティングは最速なアーキテクチャで構成された仮想マシンなのですが、これが月6ドルで手に入ってしまうとは驚きです。
そこらのレンタルサーバーよりも安いです。
ノーマルと比較して格段にパフォーマンスが良いので、ユーザーの利便性を考え、ケチらないほうが良いです笑
同じ月600円程度のレンタルサーバーと比較しても、管理画面やページの読み込み速度は段違いに感じます。
ご不明点などあれば、気軽にご相談・ご質問いただきたいです。
余談
多くのサーバーが、決済手段としてクレジットカードかPaypalしか受け付けていないのに対し、Vultrではビットコイン、Alipay、Wechat Payも受け付けています。
支払いの柔軟性は、大きなポイントです。決済情報をあまり取られたくないユーザーは、ビットコインでサーバー代をデポジットしておくといいです。
Gandiというドメインプロバイダーがビットコインを受け付けているので、ドメイン&サーバー代ともにビットコインということも実現できます。