ネットメディア、有名人の活動、植物由来の人工肉の普及などで最近目にすることが多くなった菜食主義者(ベジタリアン)。雑食の人間という霊長類が動物性タンパク質を摂取しない事に違和感しか感じない筆者は、おもしろい調査結果を見つけた。

筆者は、食に対する『こだわり』がさして強くない。もちろん、宗教による菜食主義は認めている。だが、動物性タンパク質を摂取するのが体に悪く、環境を破壊し、家畜が可愛そうだという話を、直接されたくない。

つまり、ベジタリアンの人に面倒臭い絡みをされないよう、自衛的な意味を込めて本記事を書くことにした。

ベジタリアンのリスク

最近、British Medical Journalに掲載された研究によると、菜食主義者や菜食中心の食事を摂っている人は、肉を食べている人に比べて脳卒中になるリスクが20%高いことが分かっている。

しかし、ベジタリアンであってもパニックになる必要はない。また、もし肉が好きな人であっても、研究結果が〈さらに肉を食べるべきだ〉と示唆しているわけではない。

なぜこのような結果になったのか完全に解明されおらず、この研究は菜食主義と脳卒中リスクの増加における関連を示しただけで、直接的な原因と結果ではないことに注意することが重要である。

研究の結果

研究者たちは、オックスフォードに住む48,188人の男女を対象に、18年間に何を食べたかと、心臓病あるいは脳卒中かを追跡調査した。

研究者らは、参加者を

  1. 肉を食べる人
  2. 魚を食べる人(ペスカタリアン)
  3. 菜食主義者(ビーガンを含む)

というグループに分けた。

ビーガンの食事はベジタリアンの食事とは異なるが、調査に参加したビーガンの数が非常に少ないため、調査員はこれら2つのグループを組み合わせている(ビーガンは完全菜食主義者を指す)。

研究者の分析は、教育レベル、喫煙状態、飲酒の有無、身体活動など、心疾患および脳卒中の既知のリスク因子である変数を考慮されている。

研究者らは、菜食主義者は肉を食べる人より心臓病のリスクが22%低いことを発見した。これは、菜食主義者1,000人当たりの心臓病患者数が、10年以上肉を食べている人より10人少ないことに相当する。

しかし、菜食主義者は脳卒中の発生率が20%高く、10年以上肉を食べる人と比べて菜食主義者1,000人あたり脳卒中が3回多いことに相当する。

心疾患リスクの低下は、ボディマスインデックス(BMI)、コレステロールレベル、糖尿病の発生率、血圧の低下と関連しているようであった。これらの利点は菜食生活と関連していることが知られており、心疾患に対する防御因子である。

研究では、魚は食べる人(動物肉を食べない)は心臓病のリスクが13%低いことが示されたものの、肉を食べる人と比べて脳卒中の発症率に有意な増加はなかった。

研究には長所と短所がある

この研究の主な強みは、長期間にわたって非常に大規模な集団を綿密に追跡したことである。

最大の弱点は、観察研究であるため、研究者らが明確な因果関係を特定できなかったことだ。

したがってこの研究は、菜食主義者の食事が脳卒中のリスク増加につながる訳ではなく、脳卒中のリスクが高いことを示しているだけである。このことは、菜食主義者の生活様式に関係するであろう、食事以外の他要因と関連しているかもしれないことを意味しているのだ。

〈ベジタリアン〉や〈ビーガン〉の食事は一般的に健康的だと思われているが、菜食主義者は超加工食品を多く食べている可能性がある。超加工食品は、塩分濃度が高く、トランス脂肪や飽和脂肪が含まれている。

Photo by Toa Heftiba on Unsplash

この研究では全体的な食事パターンが報告されておらず、主な食品群のみが報告されていた。

この研究のもう一つの大きな弱点は、〈ベジタリアン〉と〈ビーガン〉が同様のグループにされていたことだ。〈ベジタリアン〉と〈ビーガン〉の食事は、栄養レベルがかなり異なることが場合が多い。

ベジタリアンの脳卒中リスクが高い理由

この種の観察研究では、研究者が「メカニズム」と呼んでいるもの、すなわち、なぜこのような関連性が存在するのかについて、生物学的説明を与えることができない。

しかし、研究者が生物学的な説明をできる可能性もある。この場合、食事の違いによる栄養摂取量の違いが、菜食主義者の脳卒中リスクの増加を説明するのに役立つかもしれないと示唆している。

彼らは、動物性食品の摂取が非常に少ないことと、脳卒中リスクの増加との間に関連性があることを示した多くの日本の研究を引用した。

ビタミンB12は動物性食品(肉、魚、乳製品、卵)にしか含まれていない栄養素だ。キノコや発酵した豆にビタミンB12が含まれているものもあるが、菜食主義者の摂取源は限られている。

ビタミンB12欠乏症は、

  • 貧血
  • しびれ
  • うずき
  • 認知障害

などの神経学的問題を引き起こすことがある。

著者らは、ビタミンB12の欠乏が菜食主義者群における脳卒中のリスク増加と関連している可能性を示唆している。この欠乏現象は、完全菜食主義者、つまりビーガンではさらに顕著だ。

ただ、示唆された内容のほとんどは推測の域を出ず、動物性食品の摂取量が少ないことと脳卒中のリスクが高いこととの間に何らかの関係があるかどうかについては、明確な証拠が出ていない。

つまり、ベジタリアンであることは危険だと勧告する前に、さらなる研究が必要だ。

ベジタリアンにとって何を意味するか

この研究結果を受けて、ベジタリアンやビーガンが食生活を変えるべき理由になるわけではない。

繰り返すが、研究が言いたいことは、菜食主義者は脳卒中のリスクが増加することを示しているだけである。

この研究では、菜食主義者であることにより心疾患のリスクは低下し、全体的にはより大きな利益が得られる可能性が示されているのだ。

また、他の研究では肉を食べる人、特に赤身肉や加工肉を大量に食べる人は、特定のがんのリスクが高いことが示されている。

雑食、ペスカタリアン、ベジタリアン、ビーガンのいずれの場合でも、食事の質を考慮することが重要だ。野菜、果物、シリアル、穀物などを多く含む、作物そのものを食べることにフォーカスすると良いかもしれない。

砂糖、塩、飽和脂肪、トランス脂肪を多く含む加工食品の摂取を最小限に抑えることも同じく重要だ。この種の食品を多く含む食事は、心疾患や脳卒中のリスク増加との関連が十分に確立されている。

参照:theconversation

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