賃金データは実質でなく名目を見るべき事がわかる3つのグラフ

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アメリカの労働者は、時給がようやく上がったと思っている場合、考え直した方が良いかも知れません。

2月7日に発表された最新のデータは、一見したところ、かなり良いように見えます。

1月の名目時給は、前年同月比3.1%増でした。

しかし、重要なことを加味しなくてはいけません。

データは名目上のモノであり、生活費の変化に合わせて調整されていないことを意味しています。

インフレを考慮に入れると、状況は大きく変わるというわけです。

大統領が一般教書演説で述べたように、「blue collar boom(ブルーカラーブーム)」を表すどころか、インフレ調整後の本当のデータは、米国労働者のほとんどが、経済成長の恩恵を受けていないことを示しています。

Trump: This is a Blue Collar Boom

賃金データを研究する経済学者である、メリーランド大学のDavid Salkever氏は、一歩下がって、データが実際に何を示しているのか見ることが最も重要だといいます。

インフレとフリンジの影響

労働統計局は、賃金に関する2つのデータを発表しました。

ジャーナリストや金融市場は、毎月のデータに注目する傾向があります。各種データの数字は、名目かつ現在期間でのみ報告されますが、これはインフレデータの発表が遅れるためです。

より完全な賃金・給与データは、四半期ごとに報告されます。

最新のリリースは12月に公開された、第3四半期版です。これらの数字は、インフレ調整されているだけでなく、報酬総額の3分の1弱を占める諸手当、つまりフリンジ・ベネフィットも含んでいます。

フリンジ・ベネフィットは、給与所得者に対し、賃金・給与以外に提供する経済的利益のことです。

最新のデータは、より新しいモノなので、市場参加者や企業は、投資や雇用などに関する意思決定を行う際に、最新情報を好みます。

しかし、インフレの影響は、同じ1ドル紙幣でも、価格が上昇するにつれて、購入できるものが減ることを意味しています。

2016年12月から2019年9月まで、名目賃金は22.83〜24.38ドルへと6.79%上昇しましたが、インフレを考慮すると、平均賃金はほとんど変わらず、同期間の上昇率は0.42%にとどまってます。

以下のグラフを見てみてください。

名目およびインフレ調整後の実質時給はともに、2013年末頃から2016年まで上昇しています。しかしその後、実質賃金はインフレが回復するにつれて、横ばい状態をキープしています。

Chart: The Conversation, CC-BY-ND  Source: Bureau of Labor Statistics  Get the data

グラフにフリンジも組み込むと、別の懸念点が現れます。

健康保険や退職金、ボーナスなどを合わせた、実質給付額は1.7%減少しました。グラフでは、ベネフィットと表記しています。

フリンジの利点は、インフレという点で賃金に似た事を物語るとことです。インフレ率の上昇は、実際のフリンジ・ベネフィットが上昇することを意味していましたが、2015年の終わり近くに停滞し始めました。

また、ここ最近、名目でもフリンジ・ベネフィットは低下しています。

つまり、全体的な報酬にその影響を加えると、状況はさらに悪くなるのです。

Chart: The Conversation, CC-BY-ND  Source: Bureau of Labor Statistics  Get the data

合計すると、実質総報酬額は2016年末から2019年9月までに、0.22%減少したことになっています。

もちろん、異なる部門の労働者たちは、異なる結果を出しました。

トランプ政権は、特定部門を支援するための貿易戦争や、その他の政策の主な受益者であると製造業労働者を、「ブルーカラーブーム」から恩恵を受けていると述べています。

製造業労働者の名目データは好況をほとんど支持していませんが、ドナルド・トランプ氏が就任してから2.22%の増加を示しているのは事実です。

しかし、調整後のデータを見ると、同期間の賃金は3.88%も下落しており、まるで破産したかのよう。

また、フリンジ・ベネフィットも加えると状況はさらに悪化し、4.33%にまで低下します。

製造業労働者に関するデータは、インフレ調整後の賃金と福利厚生が2017年後半から急激に減少したことを示しています。未調整の名目賃金も停滞し始めています。

Chart: The Conversation, CC-BY-ND  Source: Bureau of Labor Statistics  Get the data

したがって、次に給与の上昇に関する記事を読んだときには、賃金データが名目ベースで報告されているのか、実質ベースで報告されているのか、またフリンジ・ベネフィットも含まれているのかを確認してくましょう。

名目賃金だけであれば、数字は思ったよりずっと少ないかもしれませんよ?

参照:theconversation

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