IT関係に従事していない方はご存じないかもしれないが、決済プロバイダーで最大手の米Stripe社は様々なサービスの裏側で稼働しており、今日無くてはならない存在となっている。
実際、Kickstarter、Booking.com、DocuSign、Nextdoor、Shopify、Salesforce、Lyftといったグローバル企業の決済はStripeを通じて行われている。
プログラムによってバックエンドで動作しているため、一般消費者は知らない方が当然。しかし、とりあえず、すごい企業であることがお分かりいただけると思う。
Stripeは、執筆時点で最新の評価額は90億ドル、約1000億円だ。
また、Stripeはウェブやアプリでの決済ビジネス以外にも、製品を複数展開している。
製品 | 内容 |
PAYMENTS | 決済プラットフォーム |
BILLING | 定期支払いエンジン |
CONNECT | プラットフォームでの売り手の決済に使用 |
SIGMA SQL | Stripeのデータを検索 |
ATLAS | 法人設立サービス |
RADAR | 不正対策ツール |
ISSUING | カードの作成・配布・管理 |
TERMINAL | POSシステム |
ツール以外の製品を簡単に説明すると、
- Eコマースで通常の決済に使う
→〈PAYMENTS〉 - サブスクリプションサービスで使う
→〈BILLING〉 - プラットフォームで顧客からの決済を受付け売り手へ支払う
→〈CONNECT〉 - 米国法人の設立サービス
→〈ATLAS〉 - カードの発行サービス
→〈ISSUING〉 - 店舗でのPOSシステム導入に使用する
→〈TERMINAL〉
と整理できる。
この記事では、米国法人を設立できる『Stripe Atras』について解説していく。というのも、筆者の知人が日本での法規制(観光系)を回避するために使っていたことから知ったStripe Atras。
内容をよく確認してみると、
- 非常に良いサービスだと感じたこと
- グローバルに事業を展開する際、メリットが多そうなこと
- 税制のメリットが大きいこと
- クラウドサービスの無料チャージがあること
- 日本での情報が少ないこと
- 実際近い人が使った経験があること
などから、筆者のブログで書いてみるに至った。旅行業の背景についてはまとめで書いている。
本記事は、海外法人の意味とデラウェア州について説明しなければ意味がないので、なるべく上から読んでもらいたいと思っている。
海外での法人設立がもつ意味
さて、では英語ネイティブではなく、日本という十分なマーケットがあるにも関わらず、米国法人を設立する意味について考えていこう。
基本的に言えば、日本で事業を展開するにあたり、わざわざ米国で法人を作る意味はない。
だが、逆に言えば日本以外で事業活動を行うのであれば米国法人であるメリットは十分にある。書面のフォーマットや銀行口座は、アメリカにある法人の方が圧倒的に世界で事業を行いやすい。
注意してほしいのは、筆者がこの記事で書いているのは、『ペーパーカンパニーをカリブ地域やセーシェル諸島で作り、脱税行為を図るものではない』ということだ。
あくまでも合法的な事業を営むにあたり、
- 日本人だけでない顧客を対象としていて
- 日本の面倒な規制を回避したり
- 日本にあえて税金を支払う必要がない
というような目的があるものとしている。
つまり、筆者が考えている米国法人を設立する意味は、
- 日本の規制回避
- 法人税の節税(脱税の意図は除く)
にある。
皆がよく知っているサービスで例を上げてみよう。
米アマゾンは日本で事業を行うにあたり、以下のような仕組みを利用してきた。
「アマゾンは、日本法人に関しては『倉庫および物流施設のひとつで、日本に拠点を置いて事業を行っているわけではない』としてきた。あくまでアマゾンはネット上に存在している実体のない店舗で、日本にある施設はただの倉庫だから、日本に法人税を納める必要はないという理屈である。そして日本での取引で得た売り上げには消費税がかかるはずだが、これについても一部の商品に関しては『サーバーや決済装置が海外にある』という理由で、日本に支払わなくてもよい、としてきた。また消費税に関しても、アマゾンのクレジットカード決済センターはアイルランドにあるため、国内で決済しても『海外での購入』との扱いになり、消費税の課税対象にはならないとしていたのだ」
いま明かされるアマゾンvs.国税「税の戦争」秘史
近年は国税が厳しく取り締まっていることもあり、上記のような仕組みを利用することはできないが、『海外企業が日本人以外を対象とした事業で、日本人も使っているレベル』なら、日本へ税金を収める必要は最小限に抑えられるかもしれない。
つまり、開発しているソフトウェアや提供するサービスの顧客が日本人以外であった場合、米国法人の方が合理的である事に気づいた方もいるはずだ。
デラウェア州について
前提として、アメリカには全部で50州あり、各々の州で税制や法律が異なる。これは、合衆国だから。つまり、どこの州で法人を設立するかは非常に重要な要素となっている。
Stripe Atrasを通して設立される企業は、自動的にデラウェア州へ登記されることとなる。
筆者は、書籍を読んでいたりウェブ上の記事を閲覧することで知っていたのだが、ここで面白い事実を共有したい。
アップルはカリフォルニア・クパチーノの企業だと思っている人は多いだろうが、実際には違う。デラウェア州の法人なのだ。
奥村会計事務所の記事を引用すると、デラウェア州ウィルミントン市は人口7万人の都市であり、ノースオレンジ通り(North Orange St.)1209の番地に2階建ての貧相な建物がある。この2階建ての建物(ビルではない)に本社を置く企業は32万社ある。ウォールマート、スターバックス、アップルなどの本社登記地がこの建物にあるのをご存知ない人はいっぱいいる。当然、今をときめくトランプ大統領候補の会社もここにある。アメリカの上場企業の設立当初の本社の95%は、このウィルミントン市にある。デラウェア州全体の人口もたった94万人、この州に本店所在地のある企業はなんと118万社である。
つまり、州の総人口よりも登記されている企業が1.25倍多い。
詳しくは、こちらの本で完結に書かれているので読んでみると良いかもしれない↓

なお、筆者は税理士でもないし、弁護士でもないし、会計士でもない。したがって、レポートやブログを書くことはできるが、詳細な税制や法律は専門家まで聞いてほしい。書籍では以下のようなものが良いだろう。
間違っても「節税コンサル」などという業者へ依頼するのでなく、国際法務・税務の専門家へ相談すべきである。
Stripe Atrasとは
ようやく、ここでStripe Atrasの紹介に入る。背景が無いと意味ないので、申し訳でない。
サービス紹介の文を引用しよう。
Stripe Atlasは会社設立のための安全で使いやすい強力なプラットフォームです。書類の準備、銀行とのやり取り、法律に関する複雑な事柄、様々な手数料、そしてどのサービスを使用すべきかを決定する難しさなど、時間のかかることはすべてお任せください。世界中のあらゆる地域での企業設立を、Stripe Atlas がサポートします。
stripe
日本人だと多少時間はかかるが、最短20分で米国法人設立までの準備ができるサービスだ。面倒な法的文書の作成、書類の申請、納税者番号の申請は全部Stripeが代行してくれ、銀行口座の開設やデビットカードの発行まで行ってくれる。
アメリカ人であれば、数日で会社ができてしまう。日本人は、アメリカ人のパートナーを名前だけでも入れると申請が楽になるとか。
実際、現時点で世界120カ国以上の起業家が、Stripe Atlasを通して米国法人を設立している。

特徴と機能
Stripe Atlasの特徴や、Stripeを通して米国法人を設立すると得られる機能は以下の通り。
- デラウェア州におけるC株式会社の設立
- デラウェア州における法人登記の手数料(手数料 189 ドルを含む)
- 会社の規約を作成し知的財産を保護するための署名済みの文書
- 創業者向けの株式を発行するツール
- レジスターエージェントの初年度料金
- 納税者番号(EIN)の登録
- 銀行口座の開設
- Stripe Atlas Community へのアクセス
- 登記後に必要となる法務事項を網羅した無料テンプレート
- 事業運営のサポート
基本的に、『会社設立に必要な各種文書や手続き』、『事業活動に必要な銀行口座やカード』、『Stripeのサービスへのアクセス』、『事業運営のサポート』をまるっと行ってくれると考えればよいだろう。
C株式会社(C Corporation)が設立されるので、この意味を解説したほうが良いかもしれない。詳細はガイドに書いてあるが、翻訳して紹介する。
ここは、法人形態の定義なので飛ばしてしまっても良い。
簡単にいえば、
- LLC(有限会社)は、C Corporation に比べて政府に提出する書類も少なく、事業経営や企業所有権に関して融通が利き、事業の損益に関して経営者間で契約書を通して自由に分配できる。
- C Corporation(C 株式会社)は連邦所得税法によって、企業レベルと株主レベルで税金が別々に課される。したがって、企業の収入に対して法人所得税、株主への株の配当があった場合は配当税が二重に課税される。
と区別することができる。以下、ガイドの翻訳。
LLCとC Corp
有限責任会社(LLC)とC Corporationは、米国の2つの主要な企業体である。各エンティティタイプには、他のビジネスよりも有利な機能がいくつかある。
ここでは、専門のアドバイザーと相談しながら情報に基づいた選択を行えるよう、いくつかの情報を収集した。
グローバルテック法律事務所であるOrrickは、Stripe Atlasの法律パートナーだ。Orrickの専門家はこのセクションに専門知識を提供し(免責事項を参照)、AtlasユーザーはOrrickによって書かれた、詳細なAtlas Legal Guideにアクセスできる。
LLC
LLCは運営契約に基づいて組織された会社の一種で、所有者(「メンバー」と呼ばれる)間の契約であり、運営方法とパートナー間の経済的負担と収益の分配方法を指定する。
LLCを構築する可能性はほとんど無限だが、それは祝福と災いどちらにもになる可能性がある。これは、会社がどのように管理されているかを把握するために、運用契約(およびメンバー間で締結される可能性のある他の契約)を調べる必要があるため、外部企業はLLCとのやり取りが困難になるからだ。これに対して、C Corporationはより標準化されている。所有権を表す株式、取締役会によるガバナンス、役員が扱う日常業務などの共通点を共有する。
LLCに共通するいくつかの特性がある。
- LLCは、創業者に有限責任を提供することを目的としている。企業の負債や義務に対する責任を起業家から会社自体に移すのだ。
- LLCはパススルー課税を提供する。LLC の所有者は通常、事業の収入に対して個人所得税を支払う。
C Corporation
C Corporationは、事業の運営者と事業の所有者との間を抽象化して機能するように設計されたエンティティである。事業者は、事業に関与する場合としない場合がある。所有権は株式によって追跡され、各株式はビジネスの支配と定義された部分と、その経済的な価値上昇に対する権利を有する。所有者は株主と呼ばれる。
多くの企業はC Corpだ。これは、Googleで仕事をする責任を負うことなく、Googleで株式を所有できるなど、株式投資が行われるからである。デラウェア州には、法律を争う場合に高度な予測をもたらす、企業を管理する高度に発達した法律団体がある。
C Corpに共通するいくつかの特性がある。
- C Corpは、有限責任を提供することを意図している。株主は通常、会社の負債および義務に対して個別に責任を負わない。
- C Corpは、自身の利益に対して法人税が課税される(そして広範な申告義務がある)。会社が配当を分配する場合(または従業員の所有者の場合は給与を支払う場合)、株主は個別に課税される。
企業の標準機能
LLCとC Corpはどちらも企業だ。米国では、取引を希望する企業や政府などの第三者は、一般に両方のタイプの企業に対処する。これは、一部の国ではそうではない(LLCは、C Corpに比べ商業的に不利になる可能性がある)。
LLCとC Corpの両方は、会社の行為および会社が持つ可能性のある負債に対する所有者および役員の責任を制限することを目的としている。
LLCとC Corpは、両方が契約の当事者になることができ、他の会社を所有することもでき、実質的に他の資産を持て、銀行サービスを得ることができ、ビジネスを運営できる。
資産とIP
LLCは、サイドプロジェクト、小さなチーム、自己完結型のビジネス、またはまだ成長しておらず方向性が定まっていないビジネスの、多くの創設者によって選ばれている。ほぼすべての規模のビジネスをサポートするように拡張することもできる。たとえば、BasecampはLLCであり、FacebookはLLCとしてスタートし、後にC Corpへ変換された。
LLCがサイドプロジェクトに適している理由の1つは、お金とIPがLLCのメンバーとLLC自体の間で比較的自由に流れることができるためだ。多くの場合、C Corpで取引が発生した場合に生じる税の影響がない。
これは、C Corpでも概念的には可能だが、特に知的財産などに関して、より多くの記録管理と厄介な税務上の考慮事項を伴う。C Corpの主要な活動には、会社の正式な決議や株主の投票など、何らかの儀式も必要だ。LLCは、しばしば所有者や管理者が単独で行動することを可能にしている。
課税
LLCは米国の課税制度上、パススルー・エンティティと見なされる。LLC自体で税金を申告しないが、彼らの収入は所有者の個人所得税申告書で報告される。C Corpは、独自の申告書を提出しないければならない。ただし、紛らわしいことに、C Corpはパススルー制度を選択できる場合もあったり、LLCは企業のように課税されることを選択できるが、これらはデフォルトの扱いではない。
LLCで流通するお金は、LLCの所有者レベルで課税される。C Corpで流通するお金は、企業レベルで、さらに、所有者に渡されるときに(給与または利益の分配として)課税される。
多くの企業が早い段階で行うように、損失を出している場合、各エンティティのさまざまな税処理は興味深い意味を持つ可能性がある。特定の年に損失を出したC Corpは、一般に将来の税年度に対する損失を負担し、将来の利益を相殺するために使用できる。LLCの損失は、一般的じ同じ税年度中の所有者の収入、たとえば雇用からの収入を相殺するために使用される場合がある。
会社が運営の最初の年に10,000ドルを費やし、収益がない場合を考える。C Corpは、税務上の利益を得るために、その1万ドルの損失を将来まで延期する必要があるでだろう。LLCは、所有者の総収入を10,000ドル減らすことができる。これにより、所有者の所得税が数千ドル減少する可能性がある。米国でテクノロジーの仕事をしている人にとっては多くの払い戻しを受ける可能性が高く、それをビジネスの成長やその他の目的、つまり資金に充てることができる。
国際的な事情
現在、米国もデラウェア州も、LLCまたはC Corpの所有者に市民権または居住要件を課していない。とはいえ、LLCを所有すると、非居住者または非市民の所有者は非常に複雑な税務状況にさらされる可能性がある。非居住米国市民は、LLCが得る収入に対して米国の税を申告する義務があり、その収入が居住地域の管轄でどのように課税されるかを考慮する必要がある。
たとえば、2人の所有者がいるLLCを考えてみる。1人は米国に、もう1人は日本に住んでいるとする。日本のメンバーはLLCでの収入に対して米国から課税される可能性があり、日本でも同じ所得税を課される場合がある。これにより、税務報告の複雑さが大幅に増加する。
投資
プロの投資家は、LLCへの投資よりもC Corpへの投資を圧倒的に好んでいる。
あらゆるタイプの投資家はLLCへの投資に興味を持たない(または法的に禁止される可能性がある)。
LLCの極端な柔軟性はまた、投資しようとする投資家が購入する予定の株式を確実に取得するために、相当な法的デューデリジェンスを行わなければならないことを意味する。多くの投資家は、投資を行うための条件として、相当な費用のかかる法的仕事をしたくない。彼らは標準化された条件で、標準化された企業に投資することを好む。C Corpは、投資家から資金を受けることに適している。
LLCとして投資の申し出を受け取った場合、多くの投資家から投資が行われる前に要件として、デラウェアでのC Corpへ転換を要求される可能性が高い。
従業員の所有権
LLCとC Corpの両方が従業員を持つことができる。原則として、従業員に所有権を与えることはできるが、LLCは制御することはできない。これは重要なことだ。C Corpは、従業員に株式やストックオプションを発行する十分に整備されたメカニズムを持ち、標準的な税処理の結果、面倒がないインフラを得ることができる。
従業員と投資家は、LLCのメンバーになるよりも、C Corpから株式を受け取る方がはるかに良い結果に繋がる可能性が高い。
権利確定
権利確定とは、会社の創設者または従業員が長期にわたって所有権を獲得するメカニズムである。
Stripe Atlas LLCには、株式の権利確定スケジュールは含まれていない。企業には企業内のパートナーと所有者を区別するための明確な方法があるが、これらの概念は本質的にLLCに混在している。LLCの所有者は、分離の条件に関して残りのパートナーと交渉を必要とする場合がある。一部の企業は、残りの当事者がパートナーの利益を買収する可能性があるため、クリーンな状態にしたいと考える。一部は、創業したパートナーに利益の一部を支払い続けることを望むかもしれない。これらの決定は複雑であり、多くの場合企業の状況と所有者の要望に依存する。
また、権利確定の基準は、テクノロジー業界のC Corpとは異なり、LLCで確立されたものがない。多くのLLCは家族間で形成され、パートナーシップの解消をもたらさない創業者は稀で、コントロール出来ない所有権はC Corpほど値がない。
LLCをC Corporationに転換する
LLCは通常、C Corpに変換できる(原則としてC CorpはLLCに変換できるが、めったに行われない)。
LLCはメンバー間の契約上の取り決めによって管理されているため、通常LLCの変換プロセスは広範な法的レビューが必要で、変換の際は金銭的および時間的コストが増加するだろう。
LLCはどこで設立されるか
米国の各州は、創業者の住んでいる場所や会社の実際の運営場所に関係なく、LLCおよびC Corpを設立できる。各州は、LLC / C企業向けの製品を提供しようと試みており、これは地域の経済発展を引き付ける目的である。
現在、すべてのStripe Atlas LLCはデラウェア州で設立されており、所有者の居住地または運営される州で「他地域」LLCとして登録する必要がある。これは通常、年に少額の手数料が必要となる、簡単なプロセスだ。米国外に住んでいる創業者への規制は大きく異なる。
Stripe Atlas LLCはデラウェア州で設立され、Orrickの法務ガイドはデラウェア州設立する利点について説明している。
デラウェアLLCは、形成が簡単で、非常に柔軟性が高く(管理およびガバナンスの取り決めにほとんど制限がない)、やり取りする当事者に馴染みやすいという利点がある。さらに、デラウェアLLCをデラウェアCorpに変換するプロセスは、決定した場合もほとんどの要素に対処する標準形式があるほど簡単で一般的となっている。
ファンドが持つStripe Atrasへの評価
著名VCであるAndreessen Horowitzの創業者でジェネラル・パートナーのMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、以下のように述べている。
私たちは専門家により適切に設立された企業に投資したいと考えています。それには Atlas を利用するのが一番です。
Marc Andreessen
ほか、Y Combinatorのパートナーは、次のように述べる。
「Stripe と協力することにより、国際的にビジネスを行う創業者たちが、書類作成ではなく起業に関する業務に時間を使えるようになったことをうれしく思っています」
Y Combinator
世界では多くのグローバルテック企業がStripe Atlasを信頼して使っているのだ。
価格
価格はなんと、500ドル。つまり、5万3千円程度だけ。
よく分からないエージェントを通したり、怪しい業者を通して米国法人を設立すると確実にボッタクられる。
Stripe Atlasのウェブサイトやドキュメント、アメリカにいる顧客サポートへ分からないことを聞き、最小限の費用で会社を設立してしまおう。
別途で、事業運営のために発生する継続的なコスト管理もStripe Atlasはサポートしてくれる。
主な維持管理費用(設定料金には含まれない)
サービス | 価格 |
デラウェア州レジスターエージェント | 年額 100 ドル(自動的に更新) |
法人税の準備 | パッケージ料金、年額 250 ドルから |
デラウェア州の税務申告 | 準備は無料、デラウェア州手数料は 225 ドルから |
銀行口座管理 | 月額 25 ドル |
知った背景とまとめ
本記事では、Stripeの紹介、海外法人のメリット、デラウェア州について、Stripe Atrasについて解説してきた。
筆者がStripe Atrasを深くしったキッカケをお話しよう。
知人が外国人の富裕層向けの観光事業を営むにあたり、宿泊予約を代行して手数料を得るのは旅行業の許可が必要で、基準資産額という財産的要件を満たさなければならなかった。
知人は、「外国人の富裕層に向けてカスタマイズした旅を楽しんでもらう」という事業を1人で立ち上げるのに、旅行業は必要な敷居が高すぎた。
旅行業は、以下の方法で合法的に営むことができる(参照:旅行業登録シグマ-東京)。
- 旅行業協会に入会しない場合
- 申請手数料で90,000円
- 営業保証金で3,000,000円
- 旅行業協会に入会する場合
- 申請手数料で90,000円
- 弁済業務保証金分担金で600,000円
- 旅行業協会の入会金で650,000円
- 年会費で81,000円
上記のような金が、事業に必要な金以外にかかってくる。
日本で旅行業を営む場合、顧客から決済を受付け宿泊の予約を代行し、手数料を抜くことで利益を得るわけだが、規定資金は事業以外に用意する事が必須。これは、個人顧客の予約を代行するからだ。
ところが、会社と会社の契約であれば旅行業は必要ない。会社が個人の予約を受付け、会社として宿に予約してしまえばB2Bでの取引になるのである。
筆者の知人は、予約に使う会社を米国法人とすることで、無駄な出費を抑えたわけだ。
このように、顧客に価値をもたらすため、日本の規制を回避するのは合理的で素晴らしい手段だと筆者は考えている。ほか、トレーディングファームなどを設立する場合、世界で複数のブローカーへ登録するときは米国法人の方が有利であろうし、利益にかかる税金は日本と比較しデラウェア法人の方が低い。
各人において米国法人設立に関してはメリットやデメリットがあるはずなので、本記事を自由に解釈していただければと思う。
詳細は以下の公式ウェブサイトでご確認を!