2020-01-20 (月曜日)

健康のため肉を避けるべきなのか。神話と事実を切り分ける

- Advertisement -

アメリカ人の半数以上が、「より健康的な食事を取ろう」と決意している。

さて、健康な食事とは何なのだろう。

混乱するのも無理はない。ある研究者は、赤身肉や加工肉を減らすことは、健康と地球環境を考えると、最優先事項だと言っている。これらの食品は健康に問題がないと主張する人もいる。

また同時に、植物由来の肉という代替品の人気が急上昇しているものの、健康への影響は不確かだ

心臓専門医で、タフツ大学栄養学の教授であるDariush Mozaffarian(ダリッシュ・モザッファリアン)氏は、肉に関する『5つの神話』と『5つの事実』を整理し、混乱を明らかにしてくれている。

肉
Via Alu

神話

ではまず、神話を見ていこう。

赤肉は健康に良い

心臓病、癌、死亡に関する長期観察研究、血中コレステロール、グルコース、炎症といった危険因子の対照試験は、加工されていない赤身肉の適度な摂取が健康に対して比較的中立であることを示唆している。

しかし、赤身を肉食べることが有益であると示唆する研究はほぼない。

つまり、たまにステーキやラム肉などを食べても、健康を悪化させることはないかもしれないが、改善することはない。

また、赤身肉に色を加えるヘム鉄の過剰摂取は、2型糖尿病のリスクを増大させる理由となりうる。赤身肉を頻繁に食べたり、加工肉をときどき食べたりすることも、大腸がんと強く関係している。

赤身肉を優先すべき

何十年もの間、脂肪やコレステロール含有量が低いため、食事指導は脂肪の少ない赤身肉に焦点を当ててきた。しかし、これらの栄養素には、心臓発作、癌、その他主要な健康問題の結果と強い関連性はない

他の要因の方が重要であると思われる。

ベーコン、ソーセージ、サラミ、コールドカットなどの加工肉には、防腐剤が多く含まれている。たとえば、ナトリウムは血圧と脳卒中のリスクを上昇させ、体は亜硝酸塩を発がん性のニトロソアミンに変換する。

痩せていようが太っていようが、加工肉製品は良い健康状態に繋がることはない。

「植物主体」 の食事にする

「植物ベース」の食事は「ヘルシー」という省略形になったが、誤解を招くかもしれない。まず、すべての動物ベースの食品が悪いわけではない

家禽と卵は比較的中性に見える。乳製品には代謝作用があり、特に体脂肪と2型糖尿病を減らす効果が見込める。そして、魚介類は健康上の利益と結びついている。

逆に、最悪な食品の多くは植物由来だ。

白いご飯、白いパン、フライドポテト、朝食の甘いシリアル、クッキーなどを考えてみよう。これらの食品は、精製デンプンと砂糖を多く含み、アメリカでは全カロリーの42%を占めている。

By © Beyond Meat Inc. 2019 All Rights Reserved – beyondmeat.com, CC BY-SA 4.0, Link

逆に、加工されていない赤身肉のカロリーは約5%、加工肉は3%。

『植物ベースの食事』は、別に健康的でなわけでない。何を食べるかによる。

草で育てた牛肉の方が健康に良い

従来の家畜は、飼料(草、他の野菜、マメ科植物)にトウモロコシ、大豆、大麦、穀物を加えた干し草の組み合わせを食べている。『牧草飼育』の家畜は主に飼料を食べるし、理論的には『草しか食べてはイケない』はずである。

ただし、『グラスフェッド(牧草飼育)』という用語の使用を規制する機関はない。そして、「放し飼いの範囲」は、動物が食べるものではなく、動物がどこに住んでいるかを表している。

グラスフェッドの方が良さそうに聞こえるかもしれないが、草で育てた牛肉と従来の牛肉を食べた場合の、健康への影響を比較した研究はない。

栄養分析によれば、草地で飼育された家畜と通常飼育された家畜との間には、非常にわずかな差があるという。個人的、環境的、宗教的な理由で、草のみで育った牛肉を食べる場合はあるだろう。

しかし、健康上のメリットは期待できない。

植物由来の肉は健康に良い

Impossible Burger(インポッシブル・フーズ)やBeyond Meat(ビヨンド・ミート)のような製品は、従来の方法で育てられた牛肉よりも環境に優しいが、健康への影響は不明である。

植物由来の栄養物のほとんどは、意図的に肉に似せている。遺伝子組み換えされた酵母を使用しているインポッシブル社は、ヘム鉄も添加している。そして、商品には塩がたっぷり入っている。

また、他多くの超加工食品と同様に、高カロリーの摂取と体重増加につながる可能性がある。

事実

さて、事実はどうなのか。

加工肉は健康に悪い

加工肉には、問題ある保存料が含まれている。

「硝酸塩や亜硝酸塩は添加されていない」と表示されているものでさえ、硝酸塩に富んだセロリの発酵粉末を含んでいる。公益科学センターによる請願書は、FDAに誤解を招く表示を禁止するよう求めているものだ。

加工肉には、ナトリウム、亜硝酸塩、ヘム鉄のほかにも、炭化、喫煙、高温のフライやグリルによって生成される、発がん物質が含まれている可能性もある。

これらの化合物は、製品を食べる人に害を与えるだけでなく、胎盤を通過して胎児に害を及ぼすこともあるのだ。

肉
Photo by Matthieu Joannon on Unsplash

肉を無くした献立が健康的な食事ではない

ほとんどの食事関連疾患は、果物、ナッツ、種子、豆、野菜、全粒穀物、植物油、魚介類、ヨーグルトなどの健康増進食品が少なすぎることによって引き起こされる。

その他の問題は、塩分、精製デンプン、砂糖を多く含むジュース、超加工食品が多すぎることに起因する。

これら主要な因子と比較して、赤身肉の食事頻度を気にすることは、健康への影響として非常に小さい。

牛肉の生産は環境を破壊している

土地利用、水利用、水質汚染、温室効果ガスの観点から見ると、赤身肉の生産は、魚類、酪農、家禽の約5倍環境負荷を与えている。

この影響は、卵、ナッツ、豆類の約20倍、果物、野菜、全粒穀物の45〜75倍である。

2013年の国連の報告書は、畜産が世界の温室効果ガス排出量の約15%を生み出し、その半分近くが牛肉からのものであると結論付けている。

肉
Photo by Paul Hermann on Unsplash

植物由来の肉は環境に良い

植物由来肉の生産は、従来の牛肉と比較し、エネルギーは半分、土地と水は1/10の使用で済み、温室効果ガスが90%少ない。

しかし、キノコや豆腐のような、より自然で加工の少ない食品と、植物由来肉を比較した研究はまだない。

多くの疑問が残っている

  • 加工肉中の、どの保存料や毒素が最も害を及ぼすのか?
  • それらを除去することはできるのか?
  • 赤身肉が2型糖尿病のリスクを高めるのは、正確には何に起因するのか?
  • 特殊な海藻を牛に与えたり、再生放牧などのイノベーションによって、牛肉の大きな環境負荷を減らすことができるのか?
  • 草で育てた牛肉と植物由来肉の代替品の健康への影響はどうなのか?

科学の多くがそうであるように、肉についての真実は微妙である。

現在のエビデンスは、加工されていない赤身肉を週に1〜2回以上食べるべきではないことを示唆している。牧草で育てられた牛肉は、伝統的な生産方法よりも環境に優しいかもしれないが、環境への悪影響は依然として大きい。

草飼料を与えられた牛肉と従来の牛肉との間で、大きな健康上の違いを支持するデータはない。

同様に、植物由来肉は地球に良いが、必ずしも人間の健康に良いわけではない。

果物、ナッツ、豆類、野菜、植物オイル、全粒穀物は、依然として人間および地球の健康にとって最良のベット先である。

参照:theconversation


- Advertisement -
Keisuke Kuribara
株式会社Propagation代表取締役。興味対象は、ビットコイン、大麻、ウェブ、金融、生物、心理など。金融から健康、テック、音楽など様々な事について執筆しており、このブログは月間10万PV程度となっております。自身のアウトプットや知的好奇心を満たすことが主な目的です。お仕事の依頼や相談などお気軽にお問い合わせください。

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

- Advertisement -

こちらもオススメです

モバイルメッシュネットワークはLightning Networkを介してインセンティブを得るようになる

Bitcoin Magazineに面白い記事が出ていたので、翻訳して紹介したいと思う。 記事はモバイルメッシュネットワークを構築していくこと、インターネットに接続していなくてもビットコインの取引ができるようになるだろうというもの。Lightning Networkは、そのモバイルメッシュネットワークを構築していくインセンティブになるという。この、モバイルメッシュネットワークであるOSS「Lot49」というものが6月11日にリリースされたようだ。 Lot49のWP発表 モバイルメッシュネットワークを開発する企業『goTenna』は、同社の子会社であるGlobal Mesh Labsが率いるオープンソースプロジェクト「Lot49プロトコル」に関するホワイトペーパーを発表した。

ペアトレードとは。概念、相関、アービトラージ、分析、モデリング、リスク、利点について

ペアトレーディングは、マーケットニュートラルなトレーディング戦略であり、二つの株式や上場投資信託(ETF)、通貨、商品、オプションのような、相関性の高い一対の商品でロング・ポジションとショート・ポジションをマッチさせるものだ。ペアトレーダーは相関関係が弱まるのを待ち、パフォーマンスの低い銘柄を買い、パフォーマンスの高い銘柄を空売りしたのち、ポジションをクローズする。これは、相関関係が統計的な基準に戻るためである。 この戦略の利益は、各アセットの動く方向からではなく、2つの商品間にある価格変化の差から得られる。したがって、買いポジションが売りポジションよりも高くなったり、売りポジションが買いポジションよりも低くなったりすれば(理想的な状況では買いポジションは上昇し売りポジションは下落するが、それは利益を得るための要件ではない)、利益が得られる計算となる。ペアトレーダーは、市場が上昇、下落、またはレンジする期間を含む様々な市場状況の期間、およびボラティリティが低いか高いかなど、いずれかの期間でも利益を得ることができる。 起源 ペアトレーディングの起源は、1980年代の初めから半ばにかけてウォール街のモルガン・スタンレーが集めたコンピュータサイエンティスト、数学者、物理学者のグループにあるとされている。コンピュータサイエンティストのGerry Bamberger氏とDavid Shaw氏、および定量トレーダーのNunzio Tartaglia氏を含むチームは、先進的な統計モデルを採用し市場の不均衡を活用するための自動取引プログラムを開発することで、株式市場における裁定機会を研究するために集められた。

キモいくらいヌルヌル動く『革新的な表示速度を実現可能にしたWordPressテーマ』Godiosを使ってみた

めちゃくちゃ読み込み速度が速いという事を聞いて、GodiosというWordpressテーマを購入してみた。 結論から言うと、めちゃくちゃ速い。びっくりした。 画面の遷移が非同期で行われるので、まるでヌルヌルと動くiPhoneアプリを思わせる動きだ。 ただし、ページ遷移の速さを重要視しているので、メディア運営などを行いたい場合は要カスタマイズといった感じ。 Gif画像を見てもらえばすぐにわかるだろう。サイトは0to1Labといって、僕が半月ほど前にアメリカのスタートアップを調べまとめたもの。

【大麻の歴史】2000年続く伝統が違法化された裏側とは?

この記事は、Youtubeへ公開した動画を元に記述したブログである。 文字よりも動画が良い方は、以下よりご覧頂きたい。 https://youtu.be/JsdBC5EvXPU はじめに

大麻はPTSDを治療する見込みがあるものの、臨床的に推奨できるレベルではない

心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療に大麻を使用する人が増えている中、新たなUCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)の研究で、処方箋として十分な証拠が裏付けられていないことが報告された。 Journal of Dual Diagnosisに掲載されたシステマティックレビューによると、カンナビノイドと呼ばれる大麻の有効成分は、PTSDの治療、特に悪夢の軽減と睡眠の促進に有望である可能性はあるが、日常的な診療で使用すべきかどうかを判断するには、さらなる研究が必要であるとされている。 大麻に含まれる主なカンナビノイドである、『CBD』と『THC』についての記事はこちら↓ https://keisukekuribara.com/cbd-and-thc-ecs/

こちらの記事も読まれています

- Advertisement -