2020-01-25 (土曜日)

人は”自分の仕事を他者でなくロボットに奪われる方を好む”という研究結果

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自動化の進歩はすでに何百万人もの労働環境に大きな影響を与えており、止まる気配はない。

英国家統計局が今年発表した調査によると、イギリスでは150万人の労働者が「自動化によって仕事を失う高リスク状態」にあり、特に女性と低賃金労働者は矢面に立たされているようだ。また、『Social Science and Medicine』誌に掲載された別の論文によると、「自動化のリスクにさらされると人の健康状態は悪化する」という。

自動化
単純業務の自動化は非常に早い速度で進んでいる。Via:Business vector created by vectorpouch – www.freepik.com

北米とヨーロッパの約2,000人を対象にした、Nature Human Behaviourの新しい自動化に関する研究結果には、さらに驚かされる。ほとんどの人は他者に仕事を取って代わられることを好むと思われるだろうが、調査対象者の大多数は自分の仕事がリスクにさらされている場合、他の従業員よりもロボットに仕事を渡す方が不安に感じないだろうと述べた。

ミュンヘン工科大学のArmin Granulo(アーミン・グラニューロ)氏らは、一連の研究で、「企業が従業員を新しいスタッフやロボットに入れ替えるシナリオを想像する」よう参加者に求めた。結果、参加者は自分が単なる観察者であると想像した場合、67%がスタッフを他の人間に置き換えると回答。しかし、自分がスタッフであると想像した場合は、ロボットでなく人間に置き換えたいと答えたのはわずか40%だった。

その後の研究で、チームは否定的な感情の反応を測定した。結果は以前の研究と一致しており、参加者は他人の仕事が置き換えられると想像した場合、ロボットでの置き換えは否定的な反応を多く示したが、自分の仕事が置き換えられると仮定すると反対の反応をしている。

ロボット 仕事
仕事を行うのがロボットに置き換えられた場合、嫉妬などの感情は湧きづらく、労働者のアイデンティティを守りやすい。

この明らかな矛盾をもう少し掘り下げてみると、少し理にかなっているかもしれない。

我々の仕事は、自尊心やアイデンティティといった感情と密接に結びついている。そしてロボットは、自分自身、仕事、家庭、才能、価値などに影響を与える人間と比較し、脅威を与えるものではない。

実際、研究チームはさらなる研究で、ロボットによる仕事の置き換えは、他の人間による置き換えよりも個人のアイデンティティを脅かすケースが少ないと評価した。

研究共著者のChristoph Fuchs(クリストフ・フックス)氏によると、この結果は新技術の導入が失業の原因になっている場合でも、人々は自分の仕事について『いかに社会的な文脈の中で考えているか』を示しているとのこと。

「社会の混乱を最小限に抑えるため労働環境の大きな変化に対処しようとする際には、こうした心理的影響を理解することが重要である」

Christoph Fuchs

研究チームはまた、この研究結果が差別化できない人々へ役立つことを証明できると考えているよう。他の人間ではなくロボットに仕事を奪われてしまったのであれば、自尊心について指導する必要はなく、スキルを身につけさせたり、新しい役職を探したりすることに集中させられるだろう。

現状、業務自動化に関するほとんどの研究は、どの産業が最も影響を受けやすいか、AIやロボットの増加が労働慣行や経済にどのような影響を与えるかなど、雇用市場に直接目を向けている。

ユニクロを運営するファーストリテイリングは9日(2018年)、物流機械大手のダイフクとパートナーシップを締結したと発表した。最新鋭の自動化設備を導入し、自社倉庫の作業効率を高め人手を減らす。

しかし、自動化の影響を受ける仕事が増えるにつれ、この研究が示しているように、人間の『自己意識』への潜在的な影響も探求する価値がでてくるはずだ。

参照:Research Digest


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Keisuke Kuribara
株式会社Propagation代表取締役。興味対象は、ビットコイン、大麻、ウェブ、金融、生物、心理など。金融から健康、テック、音楽など様々な事について執筆しており、このブログは月間10万PV程度となっております。自身のアウトプットや知的好奇心を満たすことが主な目的です。お仕事の依頼や相談などお気軽にお問い合わせください。

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