【脱税スレスレ】タックスヘイブンとアングラマネーから世界経済を学ぶ。金の世界も表裏一体だ

アングラマネー
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【脱税スレスレ】タックスヘイブンとアングラマネーから世界経済を学ぶ。金の世界も表裏一体だ

はじめに

今日は、AmazonやGoogleが行っている、法律ギリギリをついた節税などについて書かれている、「アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門」について話したいと思う。

この本は、世界経済を裏側から見てみようというもので、アングラマネーとタックスヘイブン、つまり租税回避地という2つの経済について書かれている。なお、データが若干古いことはご了承いただきたい。

何事においても、表と裏は表裏一体である。

先に言っておくと、この本はアングラマネーを生み出す犯罪にフォーカスを当てているわけではなく、脱税やマネーロンダリングについて仕組みなどを述べているもの。

中小企業の経営者や個人事業主で、上手く税金を逃れている人は沢山いて、詰めが甘いと国税庁に摘発されることとなる。

日本は法人税や相続税など、がんじがらめの税制を取っているが、世界にはかなり寛容な国が沢山ある。それは、カリブ海の国だったり、リヒテンシュタインといったヨーロッパの国だったりだ。

昨今、グローバルIT企業の税金回避が話題になることから分かるように、大幅な節税を行うことは海外では可能だったりする。

こういった仕組みについて、本書で掘り下げていきたいと思う。

内容紹介

長年、非常に秘匿性の高いタックスヘイブンとして知られていたリヒテンシュタインは、ここ数年でアメリカなどからの圧力でどんどん追い込まれており、アングラマネーは移動する傾向にある。

日本とリヒテンシュタインは租税回避情報交換条約を発行していて、2012年頃からは、日本のアングラマネーはリヒテンシュタインを使ってマネーロンダリングする手法は、実質不可能となっている。

これは、節税も非常に難しくなった事を意味している。

ここの背景にあるのが、2009年4月にロンドンで開催されたG20による金融サミットで、タックスヘイブンへの規制強化政策が合意されたのだ。

主に脱税を阻止する目的があり、銀行の顧客と機密情報を交換できるよう、各国と規定を結んでいる。

実際、この2009年のG20をさかいに、世界的にタックスヘイブンの自由度はどんどん縮小傾向にある。これは主に、2001年のアメリカ同時多発テロと2009年のリーマン・ショックが後押ししていると考えられる。

同時多発テロ以降、アメリカはアングラマネーの取締りを強化していったが、皮肉なことに、富裕層が節税した金や地下経済の金は、オフショアのタックスヘイブンへ向かうこととなったのだ。

オフショアとしては、ケイマン諸島などが有名だ。

んで、オフショア市場の取締りを強化していった結果、2006年ごろにはオフショアの金がアメリカへ流れるようになった。市場でジャブジャブの金はバブルを生みやすいので、これが2009年のリーマン・ショックに繋がることとなる。

そう、つまり住宅バブルを支えたのは本来オフショアにあった出どころの怪しい金だったのだ。

2011年、世界経済の年間総生産は約70兆ドルとされているが、この4分の1ほどはタックスヘイブンへ吸収されているそうだ。つまり、約17.8兆ドルである。これは、流入のみだ。

ロンドンに本部を置くタックス・ジャスティス・ネットワークは、タックスヘイブンには約32兆ドルの預金が存在すると算出している。このうち個人が有するのは15兆ドルとされ、これはアメリカのGDPに匹敵する。ほかは、企業や組織の金になる。

これだけ巨大な市場なので、世界各国が受けているダメージは小さくなく、そのため規制強化に乗り出しているわけだ。

タックスヘイブンは世界中に転々としているより、世界経済の真ん中にブラックホールのようにあるとイメージしてもらった方が正しい。

タックスヘイブンを定義しておくと、

  1. 税金が極めて安い
  2. 各国政府の情報提供を基本的に拒否し、公開しない
  3. 非居住者の資本が大量に流れている

つまり、企業活動の規制が極めてゆるく、また金融取引の透明性は低いといえる。

したがって、税金が安いこともそうだが、匿名性の高さの方が重要な要素となるわけだ。

これらタックスヘイブンは、便宜上4つのグループに分けることができる。

  1. ヨーロッパとその周辺
  2. イギリスのシティと海外領土
  3. アメリカ本国と海外領土
  4. 独立国

ヨーロッパではスイスやマルタ、イギリス圏ではシティや英領の島国、アメリカはデラウェア州、その他の国ではシンガポールやドバイが有名だ。

実際、アメリカの企業は天国だと思う。2010年、ゼネラルエレクトリックは140億ドルの利益を上げているが、法人税は一切払っていない。これは多国籍企業が概ね行っている技を使っているに過ぎない。

つまり、GoogleもAmazonもIBMもやっていることだ。

これは、多くの企業がタックスヘイブンにある子会社を通して利益を移転しているからである。米国会計検査院によれば、アメリカの多国籍企業トップ100社のうち、83社は節税目的のペーパーカンパニーを海外に設立している。この海外というのは、タックスヘイブンだ。

したがって、アメリカの法人税は35%だが、実際に行使されている税率はもっと低いことになる。

アメリカの行政管理予算局の算出では、国の歳入にしめる法人税の割合は7.2%だったそうだ。

これが、アメリカ企業の報酬が高い理由でもある。

大企業がタックスヘイブンを使って行っている典型的な節税法に、「ダブルアイリッシュ&ダブルサンドイッチ」と呼ばれるものがある。

このスキームは1980年にAppleが開発したもので、アイルランドにある2つの子会社を利用し、この子会社間の取引をオランダの子会社を挟む。

Googleが行っている例を具体的に説明しよう。

  1. Google本社はアイルランドの子会社に海外でのビジネスライセンスを提供する。
  2. んで、この子会社はアメリカの本社にライセンス料を払う。
  3. アイルランドの子会社は英領バミューダが管理している。したがって、アイルランドの法人税は0になる。
  4. アイルランドにある子会社は、もう1つ別の子会社にサブライセンスを提供する。アメリカ以外の国での事業収益はこの会社に集まる仕組みになっている
  5. アイルランドにあるもう1つ子会社は、オランダの子会社にライセンス料を支払う。ほんで、オランダの子会社が最初に述べたアイルランドの子会社にライセンス料を支払う
  6. なぜこれほど迂回するのか。それは、アイルランドからオランダに対するライセンス料には源泉税が徴収されないから。
  7. こうして、Googleの海外事業収益はアイルランドに蓄積されていくが、この会社はバミューダの子会社が管理しているので、無税になる。

こういったスキームは、完全に合法だ。

Via グーグルの節税策 ダブルアイリッシュ、ダッチ・サンドウィッチとは?

これを簡素化したものが移転価格操作法で、ある国で仕入れた物をタックスヘイブンへ安く転売し、タックスヘイブンの子会社が例えば日本へ高値で転売して利益を得て、日本の子会社は極めて低い利益率で物を販売すれば、税金の高い国で支払いをおさえ、タックスヘイブンで巨額の利益を上げることが可能となる。

移転価格操作法
移転価格操作法の例。フィリピン法人が仕入れた物を安くケイマン法人に販売し、ケイマン法人は日本法人へ高く転売する。日本法人は日本で安く販売すると、税金のかかる場所では利益を抑え、税率が極めて安い場所では巨額の利益を上げることができる。これは、仕入れと販売を直接行わうと実現できない。

じつの所、最強なタックスヘイブンはアメリカであると言える。

その主な地域がデラウェア州だ。人口は91万人しかおらず、面積は2番目に小さい。

アメリカの株式公開企業の半数以上、フォーチュン500社の3分の2近くは、デラウェア州で登記している。

これは、企業が拠点をおいているということではなく、法人がデラウェア州で設立されているということ。なので、その法人はデラウェア州の法律に従う。

企業統治に関してデラウェア州は非常に寛容的で、超自由である。

デラウェア州最大の都市であるウィルミントンのオフィスでは、なんと2012年の時点で94万5000社の法人登記がなされている。

これは、アメリカン航空、アップル、バンク・オブ・アメリカ、バークシャー・ハサウェイ、コカコーラ、フォード、グーグル、JPモーガン、ウォルマートなどを含んでいる。

ようは、私書箱だ。

デラウェア州は法人登記だけで8億6000万ドルの収入を得ており、デラウェア州の最大の産業は法人登記であるといえる。

Davidt8 [Public domain], via Wikimedia Commons

他にも、ラスベガスのあるネバダ州やワイオミング州も企業統治において匿名性が高く、税率が低いので、タックスヘイブンとしては人気だ。

ほかにアングラマネーで有名なのはフロリダ州だ。フロリダにはマイアミがあり、マイアミはそのロケーションから中南米のアングラマネーをひきつけている。

マイアミは、カリブ海に突き出したフロリダ半島の先端に位置している。2005年になるまで、アメリカの金融機関は海外の犯罪収益でも受け入れることは合法だった。

密輸でも脱税でもなんでも、アメリカ国外以外の収益であれば、アメリカに持ち込むことは可能だったということだ。

さすがに、諸外国へ規制強化の圧力をかけていることもあって、アメリカ自身も犯罪収益に関する方針を変えざるをえなくなってきた。

さて、話しをイギリスに移そう。

現在のイギリスの主要産業は金融サービス業である。このこともあって、イギリスは世界でも最も複雑なタックスヘイブンの仕組みを発達させた国である。

イギリスのタックスヘイブン・ネットワークの中心を構成するのは、ロンドンの中心部に位置する通称「シティ」と呼ばれる金融街である。

このシティは、ロンドン市だけでなく、イギリス政府からも独立した自治体である。このシティを中心に、タックスヘイブン・ネットワークは旧大英帝国の領域に張り巡らされた4層構造になっている。

User:Colin and Kim Hansen / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

シティの外側に位置するのが、近海に存在する王室属領のジャージー島、マン島、ガーンジー島である。王室属領の外側に、3層目となるケイマン諸島などのイギリス海外領土がある。そして、第4のグループとして、シンガポールやバハマなどの独立国ではあるが、シティとつながりの深い関係にある国が存在している。

この多層構造になったタックスヘイブンは蜘蛛の巣のようなネットワークを構成していて、お金はロンダリングされ、最終的にイギリスの金融帝国を支えている。3つの王室属領からは、2009年の第4四半期だけで3325億ドルもの資金が流入していたそうだ。

第3層目にあたるケイマン諸島は、映画館が1つしかない小さな島国だが、8万社の企業があり、世界のヘッジファンドの4分の3が登記されている。預金はなんと、1兆9000億ドルにも登る。

繰り返し述べているシティだが、正式名称はシティ・オブ・ロンドンである。そして、シティ・オブ・ロンドンを除いたロンドンを、グレーター・ロンドンという。

面白いことに、イギリス国会で作られる法律は、その多くはシティを除外している。つまり、イギリス内にはあるが、極めて特権的な自治体であると言えるのだ。

これタックスヘイブンも、近年強化されている圧力で追い込まれつつあることはすでに述べている。

実際、2013年には、ケイマン諸島が全ての会社名と全役員の名義をデータベースにして公開すると発表した。タックスヘイブンの代表格であったケイマン諸島も、国際的な圧力に屈したわけだ。

世界最大のタックスヘイブンとされていたスイスは、アメリカの圧力に追い込まれている。情報の秘匿性が高いことが魅力的だったスイスの金融機関は、その立場を失いつつある。

したがって、今後はほぼ脱税である節税は、非常に難しくなっていくだろう。

少し話しをずらして、イタリアマフィアの話しをしたい。

マフィアを犯罪組織であると定義し、彼らはどのように収益を上げているか知っておいたほうがいいはず。

イタリア・マフィアのビジネスは、大きく3つに分けて考えることができるそうだ。

  1. 「伝統的犯罪」:
    これは、非合法薬物に関することや武器の密輸、恐喝殺人、賭博などが含まれる。
  2. 「金融犯罪」:
    マネーロンダリングや闇金、相場操縦などを行っている。
  3. 「合法なビジネス」:
    アングラ経済で稼いだタネ銭を使用して、合法的なビジネスも行っている。建設、ホテル、流通などだ。これらは、裏の資金移動の隠れ蓑に使用することもできる

もちろん、各犯罪組織によって、ビジネスの得意不得意はある。ここの詳細な話しやローマ法王のいるバチカン市国のアングラマネーについては、話しきれないので本にて確認してもらえればと思う。

また、巨額の資本を動かす中国の存在なども書かれているので、かなり面白いと感じると思う。

エピローグとして、バーチャル化するアングラマネーとして、暗号通貨、または仮想通貨の話しが出てくる。バーチャルマネーは、国家や企業を発行体とせず、つまり制御されない通貨だ。

サイバー犯罪やオンラインカジノなどで使用されたり、キプロス・ショックなどを受け銀行の信用をなくした人、イランなど経済制裁を受けている国などから、ビットコインは支持を受け始めた。

ビットコインの仕組みや、何が面白くて、他のアセットとは違うか、などは別の動画で話したいと思う。

感想

まあ、税金がある限り、脱税はなくならない。オンラインカジノやオンラインポルノで暗号通貨が流通しはじめ、アングラマネーや課されていない税金はどんどんインターネット上へ流れてくるだろう。

脱税を図る者と、脱税を取り締まる側のイタチゴッコは今後永遠に行われるはずである。

新たな手法を考えた側を、政府が追いかけ、先に手法を開発した側は逃げ切り、他人から聞いた話しで追い詰められた人が最終的に捕まるという構図になることは想像に容易い。

この本を読んで、何か知識をつけてもらえればと思う。

4、5年前の本なので、本の中で書かれている仕組みやデータは若干古いものの、基礎となる根底や政府側の思惑などは早々変わるものでもないので、非常に面白いこと間違いない。

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Keisuke Kuribara

株式会社Propagation代表取締役。興味対象は、ビットコイン、大麻、ウェブ、金融、生物、心理など。金融から健康、テック、音楽など様々な事について執筆しており、このブログは月間20万PV程度となっております。自身のアウトプットや知的好奇心を満たすことが主な目的です。お仕事の依頼や相談などお気軽にお問い合わせください。Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)を保有。

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