毎週、我々現代人は世界のどこかで恐ろしいことが起こったというニュースを見ることができる。洪水、銃撃、飛行機の墜落、死者が多数出た事故などだ。

ソーシャルメディアが事件を取り上げ、1時間以内で100万人以上の人々が写真を見たり、災害のビデオを見たりしている。こういった情報を見ると、旅行やスーパーマーケットへ行ったり、海で泳いだりするのを怖がるかもしれない。

私たちは危険な事件について聞いたとき、自分が危険にさらされていると結論づける傾向にある。

しかし、ニュースの見出しには『すべてが昨日とほとんど同じである』ということは書かれていない。

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すべては昨日とほぼ同じである

大きな出来事の次の日を特別な何かであると勘違いしてしまう理由は、人は変化している何か「新しく」、そして「危険な」何かを探す傾向にあるからだ。結局のところ、生き残った我々の祖先は危険に対してチューニングされており、これは捕食者やその他危険な生物からの生存を助けることになるからである。

日常生活
何か大きな出来事のあとでも基本的に何ら日常は変わらない
Photo by Waranont (Joe) on Unsplash

しかし、「何も新しいことは起こっていない」とだけ書いても、自分を守ることはできない。心が落ち着くかもしれないし、心拍数が下がるかもしれないが、それだけでは生き延びることはできない。それで、私たち人間は危険を探すようにプログラムされる。そして、ソーシャルメディアやニュースにアクセスできれば、危険を見つけることができる。

毎日のようにだ。

悪く考えてしまう4つの心理的要因

私たちは皆、危険と脅威に対する核心的な信念を持っている。

人によっては身体的な危険に関連する情報に焦点を当て、それを記憶する傾向がある。ある人は対人的な拒絶に焦点を当て、他の人は健康的な問題に、他の人は経済的な脅威に焦点を当てている。

また、複数の脅威に偏ることもある。自分にとって最も重要な話題は何だろう。ここでは、危険バイアスのかかったレンズを通して物事を見ることを「スキーマ(構造化)」と呼ぶことにする。

これは単なる概念にすぎない。真っ暗なサングラスをかけて、現在は真夜中だと決めつけるようなものだ。自分のレンズが何を許容しているか体験し、確認すると良い。

スキーマが何であるかが定義したところで、物事に対する否定的(ネガティブ)な見方を強化し続けてしまう、4の要因があることが解説していく。

1.確認バイアス

これは、スキーマや既存の信念が確認したい情報に偏る傾向だ。たとえば、自分は敗者だと思っていた場合、その信念と一致する情報へ自動的にフォーカスし価値を置く。この場合、ほとんどすべてのコミュニケーションにおいて、失敗、欠点、欠陥を見つけるようになるだろう。世界が安全ではないと考えていた場合、殺人、自然災害、飛行機事故などの情報を自ら選択的に収集する。

バイアスをなるべく取り除くには、自分の信念と一致しなかったり、矛盾する情報を探すため努力することが重要だ。例えば、自分は敗者だと思っていても、自分の成功体験や友人からの肯定的なフィードバック、克服した障害を良い方向にとらえていく。飛行機での旅行が危険だと思うと、毎年何百万もの飛行機が安全に着陸していることに気づかないのだ。

この確認バイアスへ挑戦する1つの方法は、物事が安全であるか、自分は有能であるか、旅行が安全であるか、といったすべての例のリストを意図的に作ることである。偏った見方ではなく、バランスの取れた見方をしよう。

これは、親密な関係にも適用できる。パートナーが比較的否定的な人だと思っているなら、この考えと矛盾する情報を探していこう。パートナーが実行しているポジティブな事を1週間分リストにし、ネガティブなことではなくポジティブな事だけをしばらく追跡すると良い。

2.検索を制限する

確認バイアスに関連して、人は情報を限定的に検索する傾向にある。例えば、ネガティブ・スキーマ(危険、病気、拒絶、失敗)で思考を始めると、それらを支持する証拠が見つかるまで検索を行い、いずれ検索自体を放棄する。

情報が見つからない時、検索を諦めるのが早すぎると感じているだろうか。これを改善する1つの方法は、自分が持つ否定的な見通しを確認できなかった証拠は、誰がどうやって探すかを考えることである。

判断が早すぎると、判断が不正確になることが往々にしてある。別の説明があるかもしれないし、新しい事実があるかもしれないし、違う見方があるかもしれない。見続けよう。

3.基本原則を無視する

Photo by Lauren Richmond on Unsplash

健康に不安のある人は、頭痛を脳腫瘍と誤解したり、消化不良を胃がんと誤解したりすることがよくある。暴力を恐れている人々は、殺人のニュース記事を見ただけで「〇〇通り」が危険である証拠だと解釈してしまう。

しかし、真のリスク、すなわち真の危険や病気の確率は、いわゆる「ベース・レート」に最もよく反映される。ベース・レートは、一定期間で起こるイベントの頻度を指す。

最近、集団銃撃事件について聞いたとしよう。これはアメリカで頻繁に起こる恐ろしく悲劇な出来事である。しかし、アメリカでは3億2500万人が存在しているものの、2019年の集団銃撃事件は8月9日時点で62人の死亡にとどまっている(Timesより)。

このような事件を最小化して評価する必要はないが、集団銃撃事件で死ぬ可能性は実際どのくらいあるのだろう。米国疾病管理センター(2017)による、アメリカ人の主な死因を見てみよう。

総死亡者数:2,813,503人

出典:Final Data for 2017, tables 1, 3, 13

主要な死因別の死亡数は次の通りである。

死因人数
心疾患647,457人
がん599,108人
故意でない傷害169,936人
慢性下気道疾患160,201人
ストローク(脳血管疾患)146,383人
アルツハイマー病121,404人
糖尿病83,564人
インフルエンザ・肺炎55,672人
腎炎、ネフローゼ症候群50,633人
意図的自傷行為(自殺)47,173人

グラフにすると、以下の通り。

死因と人数
死因と人数の割合をグラフ化

ベース・レートを参照すると、最も可能性が高い死亡原因は高齢者へ大きな影響を及ぼす疾患の、心疾患、癌、呼吸器疾患、脳卒中、アルツハイマーなどであることが分かる。事故も大きな死因だ。

しかし、銃乱射事件による死因は決してトップのリストに載らない。あまりにも、全体としてみれば確率が低いからだ。

例えば、頭痛があった際に脳腫瘍の可能性を考えたとする。本当にそうかもしれないが、ベース・レート(脳腫瘍がない人のうち頭痛がある人の割合)を参照すると、頭痛は脳腫としてほぼ予測できないことが分かる。

アメリカでの飛行機墜落事故も同様で、ニューヨークからシカゴまで飛行機で行くよりも、空港まで車で行く方が死亡する確率が高いことをベース・レートは示している。

4.最新情報と成果に重点を置く

Photo by Sushobhan Badhai on Unsplash

リスクや危険性を評価する際、通常我々は最新の劇的な情報を重視する。例えば最近、ニュースで飛行機が墜落したとか、どこかで集団銃撃があったとかとか、そんなことだ。あるいは、がんと診断された友人の話を聞いて頭に残っているかもしれない。

こういった、ごく最近の劇的なニュースは、私たちの脅威と危険に対する認識へ大きな影響を与える(上で述べたように、人類は「何も起こらない」を脳へプログラムしていない)。危険性に関する最新の情報が得られた時、我々はリスクが高いと判断する。しかし、これは論理的かつ合理的だろうか。

何かが起こるリスクを知りたければ、まずはベース・レートを考えてみる必要があるはず。情報をより広範囲に検索し、危険の認識に同意できない情報を特に調べる必要がある。つまり、自分の考えを疑う必要があるのだ。

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まとめ

バイアスのかかった思考を検証し、その思考に挑戦するための様々な知識を学ぶためには、数多くの書籍を読み、論文などに基づく情報を仕入れ、比較し、自分を理解していくことが重要だと思う。

参照:Robert L. Leahy, Psychologytoday

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