犬1匹の経済的価値はいくら?

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犬は、人間にとって非常に価値があるものです。

アメリカでは、犬の飼い主は高いコストをかけています。

彼らは昨年、ペットに700億ドル以上使ったという調査結果が出ています(獣医ケアに200億ドル、物資に160億ドル、食料に320億ドル)。

ほとんどの犬好きにとって、犬は家族の一員と見なされています。もし、自分の犬1匹にいくらの価値があるかと聞かれたら、答えは『プライスレス』になるでしょう。

しかし、

  • 「不当に殺されたことで裁判所が刑罰や賠償金を決定しようとしている場合」
  • 「離婚手続きの際犬を失った配偶者に何らかの補償をして親権を決定しようとしている場合」
  • 「政府が犬の安全を保証するために支出する金額を決定する場合」

など、犬の金銭的価値を決定しなければならない場合もあります。

オクラホマ大学のDeven Carlson氏が率いる研究者チームは、正式な手続きで、犬の経済的価値を決定することに着手しました。

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アナリストは、『人間の命はどれだけの価値があるか』を、節約や延命のコストと比較して計算します。伝統的な人的資本アプローチは、生産性の観点から生命を評価しています。

これはつまり、経済へ生産的に貢献する個人の能力に基づき、人の価値を決定することになるわけです。

人が早死した場合では、残された活動の価値が社会に失われるという考え方をしますよね。

人間の経済的価値は、少なくとも、その人の将来の収入予測から、その人の支出を差し引いた形で、死者が家族に提供できるであろう支援の量(財産など)から成り立ちます。

この種の計算には、明らかな問題がいくつかあります。

例えば、収入を得ていない主婦の生活は無価値ということなのかなどです。このような方法で人生の価値を計算すると、男性は女性よりも価値があると判断されてしまいます。

金持ちは貧しい人よりも価値があり、年寄りは本質的に経済的価値がないのでしょうか。

このため近年、経済学者は、物は実際には人々が支払う意思のある限りにおいてのみ経済的価値を有するという仮定を用いて、心理学に基づく測定システムに切り替えています。

そこで問題となるのは、「人は人生にいくら払ってもいいと思っているのか?」ということでなわけです。

これは、実に答えにくい質問であることがわかりました。

結局のところ、自分が持っているすべての金を支払うかもしれないし、死に対する十分な補償として支払う金額は大きくないかもしれません。

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エコノミストはこの問題を再定義し、今日の死亡リスクを減らすため、人がどれだけ喜んで金を支払うかという問題に変えました。

この方法は、人生全体の価値を評価しようとするのではなく、わずかな変化で死ぬ可能性があるとして、どれだけ喜んでお金を払うか測定しようとするものです。

リスクを低減させる各割合に対し、ヒトがいくら支払うつもりがあるか決定し、数式モデルを用いて、社会が人の残りの人生に置かれている金銭的価値を推測していくのです。

この方法を犬に置き換えたらどうなるでしょう。

オクラホマ大学の研究チームは、4,682頭の犬の飼い主を調査し、地域の犬の12%が感染し、死亡すると予想されるインフルエンザが発生した場合を想定しました。

さらに、犬が死ぬ危険性を、12%から2%に減らすワクチンがあるとします。

このワクチンは、1年しか効かないと予想されているとします。この治療を受けるため、犬の飼い主はいくら(5〜3000ドル、約600〜32万円)払うのか?というわけです。

犬の飼い主が表現するのは、自分の犬の残りの人生のために、どれだけお金を使いたいかということ。

犬の年齢と平均余命は、大きさ、品種、他の変数に基づいて、対象となる犬の寿命の合計値を計算するため重要です。

これは容易なことでなく、研究者らは回答を得るために、複雑な方程式に対処しなければなりませんでした。

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この研究グループは、数字を分析した結果、犬の命の価値を5000〜9000ドル(54〜98万円)の範囲で評価することにしました。

この見積もりでは、犬の家族に対する感情的な価値は考慮されていません。

しかし、研究者は犬が大切な仲間と見られているかどうかの情報を集めることで、この問題を解決しようとしました。

これをモデルに組み込むと、犬の生命の価値は約1000ドル(約11万円)上昇し、犬の金銭的価値の上限は約1万ドル(約110万円)になります。

このような価値の見積もりは、多くの人を喜ばせるものではないでしょう。

愛犬を生かしておくために1万ドル以上払える人もいれば、この評価額は高すぎると言う人もいるはずです。

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2019年、ペンシルバニア州の裁判所で、ある女性が、愛犬を殺されたとして、隣人を不法侵入で訴えたような事態が起きたことを考えれば、犬が訴訟手続きで使われる可能性は十分あります。

その犬はシェルターから養子に出され、女性は50ドルの養子縁組費用を支払っていました。これに基づいて、判事は彼女に50ドルの損害賠償金を裁定しています。

理由は、動物の購入価格に相当し、50ドルという数字は、その犬の命の真価値に関する唯一の証拠であると指摘したからです。

もし、オクラホマ大学の研究データを、犬の寿命の推定値として利用できた場合はどうなったでしょう。

判決は、大切な家族の一員であるペットを失ったことによる精神的苦痛を考慮に入れなかったはずですが、少なくとも女性に対するより合理的な金銭的補償と、加害者に対するより重大な刑罰がなされたかもしれません。

参照:psychologytoday

Carlson, D., Haeder, S., Jenkins-Smith, H., Ripberger, J., Silva, C., & Weimer, D. (n.d.). Monetizing Bowser: A Contingent Valuation of the Statistical Value of Dog Life. Journal of Benefit-Cost Analysis, 1-19. doi:10.1017/bca.2019.33

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