高城剛氏の最新著書である『Green Rush』を読んだので、中身をまとめてみる。

『Green Rush』の構成は、アメリカ、カナダ、イスラエル、ウルグアイ、オーストラリア、日本という各国での大麻事情について書かれている。法律、ビジネス、闇社会の撲滅、栽培、イベントなどと、現地の人に直接取材した形態なので非常に読みやすかった。僕はKindle Unlimtedで読んだのだが、Kindle版は雑誌を電子化したようで、文字が小さく近視の人だと読みづらいかもれない。

大麻

日本で大麻は「ダメ、ゼッタイ」という風潮で薬物として認定され、まともな教育を受けていない人が大半だ。批判する人達は、海外で出た論文や事例などを調べたのだろうかと疑問に思ってしまう。

では、世界各国が医療用途、娯楽用途含め大麻を合法化していくなかで、どのようになっているのか見ていこう。

ウルグアイ

ブエノスアイレスで生まれたアルゼンチン人のアリシア氏(74歳女性)は、大麻に関する本を出版し3.5万冊売れるなどベストセラー作家になった。アリシア氏は、研究目的に自宅で大麻を栽培しており、突然密売容疑で捕まった。突然逮捕された女性を助けようと、ウルグアイ人は抗議。90日後にアリシア氏は釈放された。

このアリシア氏の件が追い風となり、2013年、ウルグアイは大麻を合法化した。

現在大麻が合法化されているウルグアイは、比較的厳しい規制がなされている。南米の小さい国が大麻合法化に至ったのは、闇組織を撲滅するためだそう。流通や需要・供給を整えるため、2013年に合法化されたものの、実際に購入できるようになったのは2017年だった。

ウルグアイでは、誰がどこで大麻を手にしたか全て記録されているようで、アメリカ系の銀行が少し寛大になるとさらに流通すると現地の役人は予想している。コカインなどが多く出回っている南米だけに、大麻は合法化した方が合理的なのだ。

最近、ウルグアイに「THCホステル」というホテルができたそう。外国人に向けて大麻を販売することは許可されていないが、ホテルからは草の匂いがするなど比較的自由らしい。

世界には大麻博物館が3つあるが、そのうちの1つがウルグアイにある。このミュージアムは、地元サッカークラブのスポンサーとなっている。タバコ会社はスポンサーになれないが、大麻企業はなれるよう。

そもそも、ウルグアイ人は大麻よりタバコの方が中毒性や害があることを知っているようだ。

医療目的で大麻を購入する場合、インターネットから申請書を出す必要がある。申請が通ると薬局で購入できたり、アメリカから個人で輸入できるようになる。ただ、正規品は比較的高価であるため、お金のない人は規制されていない製品を購入してしまうようだ。

規制を緩和し、流通量を増やすことが非常に重要だと現地医師は考えているそう。CBDの購入にも許可が必要なウルグアイは、何が入ってるか分からない非合法なものを撲滅すべきである。

アメリカ

アメリカが大麻を禁止としたのは、禁酒法の解禁から流れで他に規制する対象を大麻にしてみただけにすぎない。オレゴン州が少量の所持は「非犯罪化」したことで他の州とズレが生じ、大麻は医療効果があると1976年に定められた。

1996年にカリフォルニア州が医療用大麻を合法化し、2014年にはコロラド州が嗜好用大麻も合法化した。本が書かれた時点で、33州が医療用を合法化、10州とD.Cが嗜好用も合法化している。

州レベルでは合法化されても、連邦法で規制されていたため大麻企業は銀行口座が開けなかった。ただ、それももう終わり。2018年12月、新農業法案にトランプ大統領が署名したため、国レベルで大麻の栽培などが合法化されたのだ(産業用大麻というTHC3%以下の株のみ)。

LAS VEGAS, NV – OCTOBER 06: A general view at the grand opening of MedMen Paradise on October 6, 2018 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Denise Truscello/Getty Images for MedMen)

MedMenという大麻ディスペンサリーは、「大麻業界のApple」や「大麻のスターバックス」などと呼ばれ、オシャレでキレイな店舗を展開している。高級感あるのに手軽な商品を揃えるMedMenは、2019年3月時点で12州わたり78店舗を所有。従業員1000名以上。店舗の面積あたりの売上は、スターバックスやApple Storeよりも多い。

フェミニストレボリューション(女性の権利革命)を背景に、修道女が大麻ビジネスを行っている。自家栽培した大麻を使用した手作りのオーガニック製品(オイルやクリームなど)をウェブサイトで販売しており、年間約1億1500万円程度の売上があるという。

初心者には分からないことだらけの大麻。そんな初心者のために、大麻ツーリズムを事業としてひっそり展開している人がいる。内容は、栽培現場を見たり、お店に案内したり、吸引道具の工房に行ったり、大麻ビジネスに関連した投資家を案内したり、グルメツアーだったりと多岐に渡るよう。1年間で3000人以上を案内しているそう。日本人も月に数人くるらしい。

アメリカでは路上に大きな看板広告があるが、これまではハリウッド映画の宣伝ばかりだった。規制が解除されたことで、大麻企業の広告が目立つようになったよう。最も目立つ広告費の高い場所は、Netflixか大麻企業の広告ばかりである。れっきとした公共スペースに広告があるほどアメリカの特的地域では大麻が浸透している。

交通事故の後遺症で「てんかん」を引き起こした人物は、薬漬けの日々から脱却するため医療用大麻を使用したところ、1年で驚くほど回復したそうだ。この経験から、大麻を使った料理を出すレストランをオープンし、非常に活況であるという。

カリフォルニア州で嗜好用大麻が合法化されてから、消費者は品質にこだわるようになっている。以前は化学薬品などが混入しているものもあったが、今では成分や香り、味など高品質なものが多く出回るようになったようだ。粗悪品と闇社会が撲滅するのは素晴らしい。

大麻の品質にこだわるようになると、その使用方法にもこだわるようになる。大麻の吸引にはジョイントの他、水パイプが使われる。この水パイプをつくるガラス工房は供給がまったく追いついていない。

かつて大麻はヒッピーの存在だったが、今では大衆も普通に使用するものとなっている。その年齢層は幅広く、痛みを押えたい高齢者から若者にまでわたる。CBDやTHCを手軽に取れるよう、おいしいグミやチョコレートなどお菓子という形態の商品がアメリカでは非常に人気だそうだ。

https://www.businessinsider.sg/crypto-company-paragon-faces-lawsuit-from-investors-who-want-their-money-back-2018-1/

大麻が合法化されると気になるのはトレーサビリティだ。栽培地、流通経路、成分など、すべてを追えるようすべきだと考え、ブロックチェーンを採用することを目指す企業がある。元モデルのジェシカ・フェルスティーグ氏は、以前の恋人がオピオイド中毒で亡くなったことから創業したそうだ。銀行口座を持てない企業や信頼性を求めるためにパラゴンコインを発行し、100億円ほど集めた。現在、大麻企業が集うコワーキングスペースを展開し、シンクタンクを開く構想だそうだ(ParagonCoinに関しては言いたいことあるので別で記事にしたい笑)。

https://www.latimes.com/health/la-he-barneys-cannabis-high-end-20190325-story.html

喫煙具の話しに戻ると、高級品を扱うバーニーズ・ニューヨークは大麻用水パイプ専門のブースを設けている。1つ10万円を超えるような商品が飛ぶように売れているそう。時代にあった文化とライフスタイルをテーマにしている高級ブティックも、大麻に強い関心を抱いている。

420は大麻を指す言葉であり、4月20日はマリファナデーだ。アメリカの首都ワシントンD.C.が嗜好用大麻を合法化したのは2015年だが、やはり保守層はいる。このことから売買は禁止されているのだが、あるイベントではTシャツを販売するブースが激混みしているそう。大麻を直接売買するとうるさい人がいるが、Tシャツのおまけとして大麻をつけるのは問題ない。つまり、盛り上がっているTシャツ販売ブースは、おまけで大麻を付けているのだ。「おまけ」があるポップアップショップは、日常的に様々な場所で開催されるなど、至って普通のことになっているらしい。

https://www.massroots.com/news/norml-be-part-of-the-legal-cannabis-movement/

アメリカでの大麻合法化推進に大きな役割をになっている団体がある。「NORML」だ。1970年に設立された団体で、135支部と500人以上の弁護士からなる巨大な草の根ネットワークとなっている。大麻をどの分類で規制するかなど、裁判で戦っている。スケジュール2に格下げされたのもNORMLのおかげだ(ちなみに、僕はNORMLに寄付しているので一応メンバーとして所属している感じである)。

NORMLとは ワシントンD.C.を中心とする大麻の矛盾を明確にし、成人年齢による責任を追及した医療大麻の利用に生じる犯罪者としての矛盾したシステムを無くそうとする米国無利益団体である。主にカリフォルニアでは大麻に税金をかける方針で医療大麻での大麻の使用を法律改正しようと試みている。 

wikipedia

イスラエル

「イスラエルは、蜜と乳と大麻が溢れる国である」と、元イスラエル首相で現在は医療用大麻製品を製造する企業の会長であるエハド・バラク氏は公演で語ったそう。「蜜と乳が流れる国」は旧約聖書にかかれている文言だが、そこの大麻という言葉を憶測もなく加えている。元首相の人物がだ。それだけ一般に研究や医療などの価値観が普及している。

https://www.leafly.com/news/politics/8-reasons-israel-capital-cannabis-research

医療用大麻の研究において、イスラエルは世界をリードしている。1963年から行ってる研究の知見は、政府主導の試験プログラムでさらに強化される。世界が高齢化していくなかで、大麻の医療目的のメリットを享受するのは身体に痛みを感じやすい高齢者なのだ。大麻の輸出を合法化したイスラエルは、未来を見て判断していると言える。

イスラエルには医療用大麻専門の看護師がいる。彼女は、老人ホームで緑内障、関節炎、身体の痛み、痙攣、胃腸障害、など患者に合わせてアドバイスし、皆健康になっているそう。2009年に独立し、医療目的で右も左も分からない人をサポートしたり、リサーチや海外向けにコンサルティングをしている。

イスラエルという土地柄、兵役に出ていた人は多い。ある人は、目の前で上司が撃ち殺されPTSDを患った。子供が生まれたあとも発作は消えず、ある時子供の首に手をかけてしまったそうだ。治療法を探すなか医療用大麻に行き着いた。あらゆる薬を試しても効果はなかったが、大麻で治療するとすぐに症状は落ち着いたという。この経験を本にし販売したところ、世界的に話題となった。生きることが辛かった人を医療用大麻が救ったのだ。

カナダ

2018年10月、カナダは大麻の所持や使用を合法化した。1998年に産業用、2003年に医療用を合法化していたが、2018年に嗜好用も合法化されたという流れ。この目的は、「合法化することで若者と薬物の接点を無くし、犯罪組織の資金源を断つ」ことにある。カナダ国民の大麻使用率は非常に高く、半数以上が時々以上利用しているらしい。どれだけ厳しく規制しても意味がないというわけだ。

https://straingenie.com/

いち早く嗜好用大麻を国レベルで合法化した先進国のカナダでは、DNA解析のビジネスが活況なよう。アルコールのように、人によってどの成分が「向いている」「向いていない」があるからだ。59カナダドルのDNA解析キットは、頬の部分を3回擦るだけで45分後には結果が出る。結果はメールで送られるので、商品を購入するとき成分表の目安となる。手間がかからないため好評で、データがたまったらレコメンド機能も付けたいそうだ。

https://dailyhive.com/grow/first-cannabis-store-toronto-hunny-pot

合法大麻ショップがトロントにオープンし、ラグジュアリーな店内では大麻製品が販売されている。店名は「The Honey Pot」。オイル、ベポライザー、パイプなどが売られているが、一番人気は5000円ほどのソフトジェルだそう。平日問わず、混雑しているようだ。

大麻草からつくるビールを製造している企業もある。麦は一切使用していない。使用する材料は、大麻、ホップ、イースト菌、水だけ。廃棄される部分も使うことで、大麻企業がゴミ処分にかかる費用を削減できる効果もあるよう。また、麦を使わないので糖質やカロリーが低く、純粋にグルテンフリーになる。

世界最大の医療用大麻製造企業であるキャノピー・グロースもカナダにあり、2013年創業時の総収入は約1406万円だったが、最近では1日に約8272万円の総収入があるらしい(上場企業なので決算を見れば詳細は分かる)。乾燥大麻、オイル、カプセルのみを販売していたが、合法化に合わせお菓子メーカーも買収。食品分野にも進出する予定なよう。ほかにも、工場を設立したことで雇用を生み、地方創生にも役立っている。ハーシーズが人件費の安いメキシコに工場を移した時、スミス・フォールズでは多くの失業者が出たが、キャノピー・グロースが失業した人を雇い、職を提供した。キャノピー・グロースは、街の住民とも良好な関係を築いているようだ。

流通、ECでの販売、CRMなど、大麻企業が出ると必ず必要になる。これらのソリューションをクラウドで提供している会社「アンブル・オーガニックス」が伸びている。いわゆる、大麻企業用のSaasで、カナダの大麻企業のうち70%が同社の製品を使用しているという。現在は、ジャマイカ、オーストラリア、メキシコ、コロンビア、マルタへの展開も進めているそうだ。

新しい産業が出ると、トラブルが増える。カナダには大麻弁護士もいる。もともと医療用大麻が認められていたため裁判が多く、事例が豊富であることがきちんとした法整備に一役買っていると大麻弁護士は述べたそう。

日本

バルセロナにある大麻博物館で、日本にちなんだコーナーがあるらしい。そこでは、日本が本来しようしてきた大麻の歴史や文化が説明され、実際に販売されていた大麻チンキの瓶も展示されている。これは、資生堂の製品だ。日本は1948年に制定された大麻取締役法で、大麻から医薬品を製造できないが、それ以前は普通に生活に大麻が溶け込んでいたのだ。

日本といえば製造で有名だが、植物工場の研究に置いて世界的に有名な享受も日本の千葉大学にいる。古在豊樹名誉教授の植物工場技術は、世界各地の大麻農家で採用されている。皮肉にも、その技術は日本で使用できず、海外の国に利益を与えているわけだ。最適な遺伝子の品種を最適な環境で栽培できれば、成長の速い大麻は最大24毛作できるらしい。日本で大麻は栽培できないので、日本で実際に栽培されているのはレタスだという。単価の高い大麻にレタスを変えられれば、収益が上がらず苦しい農家を救えるかもしれないと教授は述べたそう。

オーストラリア

2015年、オーストラリアは医療と科学目的で栽培される大麻を合法化すると発表し、翌年大麻を合法化した。2018年は医療用大麻の輸出を解禁した。このことから、カナダの企業がオーストラリア企業に投資したり、現地法人を作ったりしている。

http://cashcroptoday.com/tag/asx-exl/(右がCEOポール・ベン・ハイム氏、真ん中は安倍昭恵夫人)

今では日本でも有名なエリクシノールだが、2010年にオーストラリアで設立された会社だ。その後、アメリカに移転している。エリクシノールは販売する国ごとにローカライズし、高い人気を誇っている。もともとバックパッカーをしておりヒッピーのようだったポール・ベン・ハイム氏は、創業4年でオーストラリア市場に上場させている。

感想

世界各地の大麻事情について現地人から聞いた話しをまとめた形式で、非常に分かりやすい本だった。写真がキレイで、各章の間にあるコラムも示唆に富んでいる。

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