「フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略」は、全く古さを感じさせない超良書だと思う

フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略

Amazonのセールで購入した、『Free(フリー)〈無料〉からお金を生み出す新戦略』という書籍が非常に良かった。出版されたのは2009年と、10年ほども前。

しかし、この本で触れられている内容は、現代のビジネスにも通じる本質であり、陳腐化したような古さは一切感じさせない。

原著はChris Anderson(クリス・アンダーソン)氏。彼は、ワイアード氏の編集長でテックや最先端のビジネスへ常に触れてきた人物である。「ロングテール」という言葉を2004年に同誌上ではじめて世に知らしめ、2006年に刊行した同名の著書『ロングテール 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』は世界的ベストセラーとなっている。

本書内では、

  • GoogleやFacebook、Twitterといったフリービジネス
  • オンラインゲームで用いられるフリーミアムモデル
  • ソフトウェアの販売時に用いられる無料体験版
  • 中国市場でのコピー商品がもたらす市場拡大
  • 無料でスポンサーを得る市場の再定義

などが詳細に分析されており、非常に示唆富んだ内容となっている。

元の価格は税込み1500円なのだが、頻繁にKindle版がセールで514円となっている。文量も結構あり満足できる本なので、是非手にとって見てほしい。

そんな本書内で述べられている巻末付録で、ビジネスモデルに悩んでいる方へ参考となりそうな事が書かれている。

〈ビジネスモデルを理解出来ること〉と〈実際にビジネスを行うこと〉は全く別物であるのだが、様々なモデルを理解・把握しておくことは非常に重要だと思う。

本の内容を掻い摘んで、この記事では紹介したい。詳細は、書籍でご確認を📖

フリービジネスの考察やビジネスモデルなど

無料のルール

1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる

フリーは選択肢のひとつではなく必然であり、ビットは無料になることを望んでいる。

2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない

今日では、 航空会社から自動車までいろいろな企業がみずからの業界の定義を創造的に広げることで、コアプロダクトを無料にしてほかのものを売る方法を見つけている。

3.フリーは止まらない

デジタルの世界では、法律や使用制限によってフリーを食い止めようとしても、結局は経済的万有引力に逆らうことはできない。フリーを海賊どもの手からとり戻してみずから利用することで、アップグレード版を売ればよい。

4.フリーからもお金儲けはできる

時間を節約するためにお金を払う人がいる。リスクを下げるためにお金を払う人がいる。自分の好きなものにお金を払う人がいる。ステイタスにお金を払う人がいる。

5.市場を再評価する

かつてはライアンエア社もライバル会社と同じく、航空機の座席を売るビジネスをしていた。だがそこで、自分たちは旅行ビジネスをしようと決めた。そこに差が生まれたのだ。たんに座席を売るよりも旅行ビジネスのほうが、レンタカー会社や旅行客を呼びこみたい観光地からキックバックなど、お金を儲ける方法がたくさんある。

6.ゼロにする

あるもののコストがゼロに向かっているならば、フリーは可能性ではなく、いっそうなるかという時間の問題だ。それなら真っ先に無料にすればいい。

7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる

皆さんがビジネスにおいて課金しているモノやサービスを、内部相互補助やソフトウェアなどを活用してほかの誰かが無料で提供する方法を見つけるだろう。商品は無料にして別のものを売るか、価格の違いを埋めあわせられるだけの差別化を図るかだ。

8.ムダを受け入れよう

もしもあるものが気にする必要もないほど安くなっているのならば、もう気にするのはやめよう。革新的な企業のほとんどは、固定料金から無料まで、価格トレンドがどこを目指しているのかを見きわめて先まわりをしている。

9.フリーは別のものの価値を高める

潤沢さは新たな稀少さを生みだす。あるモノやサービスが無料になると、価値はひとつ高次のレイヤーに移動する。

10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう

資源が稀少な世界では、資源は高価になるので慎重に使う必要がある。一方、資源が安い世界では同じ方法で管理する必要はない。ビジネスの機能がデジタルになると各ビジネスのリスクは小さくなるので、母艦が沈む危険を考えずに独立して多くのビジネスができるようになる。企業文化は 「失敗するな」から「早めに失敗しろ」に変わるのだ。

フリーミアムの戦術

フリーミアムのモデルにはさまざまな種類がある。ここではある会社がビジネス用ソフトウェアを売る例で、どのモデルを選べばいいか検討してみよう。

1.時間制限

30日間無料、その後は有料。業務アプリケーションを提供するセールスフォースが実践しているモデル)

2.機能制限

基本機能版は無料、機能拡張版は有料。オープンソースのブログソフト〈ワードプレス〉がその例。オートマティック社がそれの企業用強化版を有料で売っている。

3.人数制限

一定数の人は無料で使えるが、それ以上の利用者は有料。インテュイット(Intuit)社の小規模事業向け会計ソフトのクイッ クブックがその例

4.顧客のタイプによる制限

小規模で創業まもない企業は無料で、それ以外は有料。マイクロソフトのビズスパークがその例。創業三年未満で年商100万ドル未満の企業に対し、ビジネス用ソフトを無料で提供する。

適切な移行割合は?

従来は製品の95%を売るために、5%を無料で提供するのだが、フリーミアムは5%を売るために、95%を無料で提供する。これが成り立つのは、デジタル製品の限界費用がゼロに近いので、コストも少なく大きな市場にアクセスするためならそのコストを容認できるから。

フリーミアムを収益モデルとして利用することを考えているウェブ2.0企業に対するアドバイスは、ユーザー全体に対する有料ユーザーの割合は5%を損益分岐点にすることだが、望ましい割合は10%だ。

無料ユーザーの価値は何か?

無料ユーザーは全員が一様なわけではなく、その価値は彼らがユーザーとなった時期で異なる。企業や製品の初期にあって、とにかく人を引きつけたいと思うときに、フリーは最善のマーケティング手法になる。

新たなユーザーにしてみれば、低いリスクでその製品を試せるので、無料にすれば多くの人に試してもらいやすい。だが時間が経過してそ の企業や製品が定着し、知名度も上がると、その製品を試すことのリスクは低くなるのでフリーはもはや必要不可欠ではなくなる。

フリーを利用した50のビジネスモデル

現在すでにうまくいっているフリー・ビジネスモデルは無数にあり、ここでは50の例を紹介しよう。

大きく3つの種類に分けている。

フリー①

直接的内部相互補助。

  • サービスは無料、製品は有料
  • サービスは有料、ソフトウェアは無料
  • ハードウェアは有料
  • ハードウェアは無料、ソフトウェアは有料
  • 携帯電話は無料、通話は有料
  • 通話は無料、携帯電話は有料
  • ショーは無料、ドリンクは有料
  • ドリンクは無料、ショーは有料
  • 商品が無料
  • ひとつ買うと、もうひとつは無料
  • 無料のおまけ
  • 25ドル以上の注文で送料無料
  • 無料サンプル
  • 無料購読期間
  • 駐車無料
  • 無料の香辛料

フリー②

3者間市場あるいは市場の2面性(ある顧客グループが別の顧客グループの費用を補う)

  • コンテンツは無料、視聴者へのアクセスは有料
  • クレジットカードの発行は無料で、商店から決済手数料をとる
  • 学術論文の閲覧は無料、著者が投稿するのは有料
  • PDF文書の閲覧ソフトは無料、作成ソフトは有料
  • 女性は入場無料、男性は有料
  • 子どもは入場無料、大人は有料
  • プロフィール作成は無料、くわしい検索は有料
  • リスト掲載は有料、検索は無料
  • 旅行サービスは無料、レンタカー会社やホテルからキックバックを受ける
  • 売り手から料金をとり、顧客に安く売る
  • 物件リストは無料にし、住宅ローンを売る
  • コンテンツは無料にし、顧客情報を売る
  • コンテンツは無料、ユーザーが小売商を使うと紹介料が入る
  • コンテンツは無料で、モノを売る
  • コンテンツは無料、広告主から掲載料をとる
  • プロフィールの一覧は無料、くわしい検索は有料
  • 一般消費者がコンテンツやデータを利用するのは無料、企業がAPIを使ってコンテンツにアクセスするのは有料
  • 環境にやさしいエコハウスの建築プランは無料、そうした建築を請け負う業者として登録するのは有料

フリー③

フリーミアム(一部の有料顧客が他の顧客の無料分を負担する)

  • 基本情報は無料、くわしい情報を利用しやすいフォーマットで提供するのは有料
  • 一般的な経営アドバイスは無料、個別のアドバイスは有料
  • 連邦税計算用ソフトウェアは無料、州税用は有料
  • 低品質のMP3は無料、高品質のCDは有料
  • ウェブ コンテンツは無料、印刷したものは有料
  • お得意さん以外には高く売って、お得意さんに安く売る赤字分を補填する
  • オンラインゲームは無料、そのゲームをさらに楽しめる会員登録は有料
  • ビジネス・ディレクトリへのリスティングは無料、その企業に〈お墨付き〉を与えるのは有料
  • デモ版は無料、完全版は有料
  • コンピュータ同士の通話は無料、コンピュータと電話の通話は有料
  • 画像共有サービスは無料、追加の保存容量は有料
  • 基本ソフトウェアは無料、機能拡張版は有料
  • 広告つきサービスは無料、広告をとりはらうのは有料
  • 一部抜粋は無料、本は有料
  • バーチャル世界の探索は無料、その世界の土地は有料
  • 音楽ゲームは無料、追加楽曲は有料

是非、手にとって見てほしい↓

なんと、英語版では著書自体が「フリー」になっていた。

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