本が苦手でも大丈夫。Netflixにある『ヤバい経済学』でインセンティブと因果関係を理解しよう

ヤバい経済学

全世界で400万部売れたとされる『ヤバい経済学』は、経済的な知識がなくても楽しく読め、既存の固定概念や一般的に言われていることなどの常識を打ち砕いてくれる本である。

より専門的な経済学の本を読みたい場合は、『ミクロ経済学の力』などを読めば良いのだが、『ヤバい経済学』はとりあえず手に取ってみるのに最適だと言える。

増刷版や『超ヤバい経済学』という続編も出るなど、多くの人が手にとっている本。そんな経済学の本に、動画版もあることをご存知だろうか。

現在、Youtube、Google Play Movie、Netflixで配信されており、1時間半ほどで見ることができる。休日や平日の時間ができたとき、サラッと見てみると良いかもしれない。

書籍紹介

  • 銃とプール、危ないのはどっち?
  • 学校の先生と相撲の力士、どこがおんなじ?
  • 麻薬の売人がいつまでもママと住んでるのはどして?
  • 子供は親でそんなに違うもの?
  • 「ロー対ウェイド」裁判が凶悪犯罪に与えた影響は?

経済学者は、こんなことあまり言い出しそうじゃない。でも、スティーヴン・D・レヴィットのほうだってそんじょそこらの経済学者じゃない。

日々の疑問や日常のあれこれ、イカサマ、犯罪、スポーツ、育児までを追究し、通念をひっくり返して回る名うての学者である。データを山ほど集め、素朴だけれど誰もあまり深く考えない疑問から始めるのが彼のやり口だ。そんな疑問の中には人の生死にかかわるようなのもある。かと思うと、どうみても頭がおかしくなったんじゃないかというのもある。これはそんな新しい学問の本だ。ヤバい経済学(フリーコノミクス)という。

レヴィットと共著者のスティーヴン・J・ダブナーは、説得力ある語り口と鋭い眼力で、経済学は、ようするにインセンティブの学問だと示す。つまり、人は自分の欲しいものをどうやって手に入れるか、とくに他の人も同じものが欲しいと思っているときにどうするか、それを考えるのが経済学だ。『ヤバい経済学』で、二人は裏側へと探検に旅立つ。何の裏側かと言えば、ようするになんでもかんでもだ。麻薬ギャングの内幕。不動産屋の正体。選挙資金の神話。先生がインチキした証拠。ク・クラックス・クランの秘密。

そんな雑多な話の底に流れているのは、こんなにもあいまいで複雑でまるっきり信じられない今の世の中だけど、物事はちゃんと筋が通っているし、ちゃんとわかるし、疑問の立て方さえ間違わなければ思っているよりずっと面白いという信条だ。

ものの見方を変えればそれだけでいい。スティーヴン・レヴィットが、悪魔のような巧妙さと明晰な頭脳で、とっちらかった向こう側を見通すにはどうすればいいかを示してくれる。

『ヤバい経済学』の立ち位置を短く言えばこうなる。

道徳が私たちの望む世の中のあり方についての学問だとすると、経済学は実際の世の中のあり方についての学問だ。本書を読めば、気取ったパーティでウケるクイズやウンチクも仕入れられるだろう。でも、『ヤバい経済学』はそれだけのしょうもない本じゃない。現代社会の見方をまるっきり変えてしまう本なのだ。

著者紹介

スティーヴン・D・レヴィット

シカゴ大学で経済学の教鞭を執る。2003年、2年に1度40歳未満で最も優れたアメリカの経済学者に贈られる、ジョン・ベイツ・クラーク・メダルを受賞した。

スティーヴン・J・ダブナー

ニューヨーク市在住の作家・ジャーナリスト。『ニューヨーク・タイムズ』紙および『ザ・ニューヨーカー』誌等の記事を執筆。全米ベストセラーとなった『さまよえる魂(Turbulent Souls)』および『ヒーロー好きの告解(Confessions of a Hero-Worshiper)』の著者である。

内容

概要(予告編)をYoutubeで見ることが出来る。また、300円で実際のコンテンツを見ることも可能。

筆者はNetflixで閲覧した。

経済学では、『インセンティブ』が鍵になる。インセンティブがどこにあるかを考えることで、おおよそ人間の行動は予測可能になるからだ。

人は、皆と同じようにするのが正解だと考えている。子供を音楽教室へ通わせたり、美術館へ連れて行ったり、胎児にモーツァルトを聞かせたりするのは、本当に効果的なのか。データ上、有意に良いセンスを形成するという結果は出ていない。

ヤバい経済学では、物事の因果関係を分析し解説している。巷で言われていることの理由は、本当にそうなのか、考えるキッカケになるかもしれない。

例えば、名前はその人の運命に大きく左右する言われている。だが、これは本当だろうか。実際は、名前とその人物の運命は関係なく、文化的・社会的な環境要因によるところが多い。

黒人ぽい名前、白人ぽい名前がアメリカにはあるが、これは実際には黒人が個性的な名前をつけたがる事に起因し、同じ名前でもスペルが200種以上に渡る。

調査によると、より黒人ぽい個性的な名前をつけられた子供は、貧困家庭にいる確率が高いという。

不正に関する調査もある。

不正が起こる時、不正を犯すものの心理を考えると分かりやすい。基本的に人為的な不正は規則性が伴う。つまり、不正や犯罪から身を守りたかったり、見破りたければ、不正を犯す者や犯罪者の視点に立ってみると解像度が上がる。

日本の厳格な相撲という競技は、大金が絡むので八百長を行うインセンティブがあって当然だ。不正を暴くには、負けと勝ちのパターンを分析することで予測が可能になる。相撲では8勝という数字が階級に左右し、階級が1つ異なるだけで1ヶ月の給料が5000ドルも変わる。したがって、既に8勝を上げている力士は、現在7勝の力士と対戦すると、高い確率で7勝の力士が勝つのだ。

不正は、データに基づく数字を洗い出せば、全てパターンで明らかになるということ。

他にも、警視庁の殺人検挙率は96%にもなると発表されているが、警察官は皆この数字が嘘であることを知っている。検挙率が高いことを示せば、国民が安心するだろうと偽造して公開しているのだ。検挙率を上げた数字を目指すため、警察は解決が容易事件ばかり追求するインセンティブがわく。既に犯人が分かっている場合は殺人事件として扱い、不明な場合は死体遺棄事件として扱うように。

1990年代、アメリカでは殺人発生率が劇的に上昇した。FBIは犯罪者を取り締まるため、刑務所の収容能力向上や取り締まりの強化を行った。結果として、犯罪率は50%ほども下がったという。だが、本当に取り締まりの強化が犯罪率の低下の要因だったのだろうか。実際には、規制強化は要因の半数しか占めていないことが分かった。本当の要因は、1973年に中絶が合法化されたことだった。違法とされていた中絶が合法化されることで、望まない子供の数は減る。

基本的に、望まれずに育った子供は犯罪者になる確率が高い。したがって、1990年代に突然犯罪率が下がった要因は、警察による規制強化ではなく、犯罪を犯す可能性の高い人物が減っただけだったのだ。(1990s – 1973)を行うと、ちょうど犯罪を犯しやすい20歳前後の子供が生まれる年であることが分かる。

インセンティブが重要だと述べたが、生徒に対して成績が向上したら報酬を与えるという実験を行うとどうなるだろう。実験対象は900人。 実際に成績は5〜7%程度向上したが、学者が予想していたよりは大幅に低かった。この結果を受け、より小さいうちから学習による報酬を与えるなど実験していくという。

まとめ

経済学の基礎となるような、インセンティブシステムについて『ヤバい経済学』では分かりやすく解説されている。本でも良いが、活字が苦手な人は動画の方が頭に入りやすいだろう。

『ヤバい経済学』は金融や経済の知識が一切なくても読める本で、人の行動に左右するインセンティブや事柄が起きたことの因果関係を突き止める重要性などを教えてくれる。

根拠が無く理論的におかしいことを好む人もいるのでインチキに騙されるなとは言わないが、何か気づきを与えてくれる本であるはず。

本記事ではだいぶ端折っているので、実際に本を読んでいただければと思う。

名前に関する言及もあるので、子供を持とうと考えている人は読むと良いだろう。例えば、自分が企業の採用担当であった時、キラキラネームの人材を積極的に書類選考に通したいと思うのか。長く複雑な名前を付けられた子供は、英語圏の友人から呼ばれづらくないか、などなど。

経済的な観点、つまりインセンティブを意識し物事を考えるキッカケになるかもしれない。

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