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日曜日, 12月 15, 2019

サブスクリプションビジネスで大切な顧客との関わり方を解説

この記事は、Youtubeへ公開した動画を元に記述したブログである。

文字よりも動画が良い方は、以下よりご覧頂きたい。

はじめに

今日は、ビジネスモデルの話題として、皆さん大好きなサブスクリプションの話しだ。

サブスクリプションは、月額定額制のサービスのことである。

具体的には、「サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方」という本の紹介になる。

自分で実感していることだし、新たなサービスを見ていても感じることだが、物を買う機会が凄く減っている気がする。昔はCDを買ってウォークマンへ取り込んでいたが、今はストリーミングサービスを契約し、ダウンロードして聞いている。

これは

  • 本当に必要な物は概ね満たされていること
  • スマートフォンが普及していること
  • ムーアの法則から、通信能力は向上し同じ容量を保存するのに必要なコストは下がり続けていること

などが上げられる思う。

映画はNetflix、音楽はSpotify、ストレージはGoogleドライブかDropbox、こんな感じで、購入するのと同じくらい登録するというボタンを押しているのではないだろうか。

こうしたサブスクリプションビジネスの市場規模を調べるためZuoraのサブスクリプション・エコノミー・インデックス(SEI)を見てみると、かなりの傾きを持って右肩上がりになっていることが分かる。

サブスクリプション・エコノミー・インデックス
THE SUBSCRIPTION ECONOMY INDEX LEVEL VERSUS S&P 500 AND RETAIL SALES GROWTH. Via Zuora

サブスクリプションビジネスは、初期投資で顧客を集め、ゆっくりと回収し着実にストックを作っていくモデルだ。

したがって、解約率を意味するチャーンレートをどれだけ下げることができるかが重要となる。

現代人はチャーンの世界に生きているので、企業としてはどれだけ契約を継続させるかがビジネスの指標であり、逆に言えば解約率の高い業界を狙うとチャンスかもしれない。

物を販売していく伝統的な事業の戦略は見込み客を客に変えることであったが、サブスクリプションビジネスでは顧客との長期的な関係を作ることへフォーカスする。

住む家の家賃のようなものであった定期支払いは、あらゆるサービスに進出している。

では、サブスクリプションビジネスについて、深堀りしていこう。

内容紹介

ずばり、なぜサブスクリプションビジネスが機能するのか。

これは、我々が求めているからだ。サブスクリプションは買うよりも手軽で、意思決定の負担を軽減してくれる。

そして、メンバーシップは認知や安定感、利便性など人とのつながりをもたらすこととなる。

実際、人が本当に商品へ求めているのは所有でなく、利用である。

これらが、IoTやシェアリングエコノミー、クラウドコンピューティング、デジタル化、資源不足といった技術革新や時代背景を踏まえ、サブスクリプションは、さらに加速すると予想できる。

ソフトウェアの世界で販売モデルからサブスクリプションモデルへ変更し、大きな成長を遂げた一例にAdobeだろう。フォトショップ(Photoshop)やイラストレーター(Illustrator)といったクリエイター向けのソフトウェアを販売で提供していたアドビは、2011年、会員システムであるクリエイティブクラウドを発表し、パッケージソフトウェアをクラウド管理へ移行した。

クラウドへ製品を移すことで、契約している限り最新版へ常にアップデートされていく。

2016年末、アドビは決算を発表し、収益は過去最高となる58億5000万ドルを記録した。

サブスクリプションは意思決定のハードルを下げるので、クロスセルにも役立つ。契約した製品ではない、別の製品も「ついでに購入してもらうキッカケ」になる可能性がある。これは、1回あたりの決済金額が、実際のモノの販売より小さいためである。

販売をサブスクへ変更するには、いくつか考慮するべき事項があるのは想像に容易い。

  • 併用するのか
  • 営業の報酬はどうするのか
  • 更新の担当はだれか
  • 売上の計上はいつか
  • マーケティングのメッセージは変えるのか
  • 市場はどうするか
  • ペルソナはどうするか
  • 料金設定はどうするか

このようにビジネスモデルの転換を考えると、事業の根本を問い直すことができるかもしれない。

モノを売るときのは見込み客を客にすると先程述べたが、見込み客の獲得を担当していたマーケターは、サブスクリプションの場合、重要性が薄くなる。

サブスクでは、契約したあとのマーケティングが重要になるからだ。したがって、マーケターは自分の活動が会社にどれだけ利益をもたらすか考えるため、言うまでもないが次の点を考えると良いだろう。

  • 顧客1人を獲得する平均コスト
  • 契約者1人あたりの平均収益
  • 顧客を維持するのに必要なコスト
  • 顧客獲得から利益が出るまでの時間
  • 契約者の平均契約期間
  • チャーンレート

サービスソース社によると、様々な情報を加味するとSaaSの損益分岐点は平均3.1年だという。つまり、時間をかけて取り組むビジネスモデルなのだ。

これは、会社を信用できるとか、自分の事を気にかけてくれているを感じさせると良いだろう。これを、価値の育成と呼ぶ。

価値の育成は、「顧客からお金を取ることはなく、顧客の製品に対する総合的な価値を高めて満足させることで、ビジネスを長期に渡って成長させること」と説明できる。

サブスクに契約してくれた顧客は、顧客となったのに何らかの理由があり、契約したことに確証バイアスを欲する。確証バイアスとは、自分が正しい決断をしたことを集めようとする習性のことだ。

つまり、顧客は契約したことは正しいという仮設を探しているので、その証拠を提示してあげると忠誠心を持ってくれやすくなるわけだ。

これが、オンボーディングと呼ばれる、新規顧客に使い方を説明したり、慣れさせたりする対応を厚くするわけだ。

失敗したと思わなければ、長く契約してくれる可能性が高くなる。

90日以内にアクションが起こらない場合、忠誠心の高い顧客になる確率は10%であるという、90:10の法則とよばれる物があることから、サブスクの場合は特にスタート時の障壁を減らすことに注力しなければならない。

スタート時の障壁を取り除くのに有効で、簡単な施策を3つ紹介したい。

  • ウェルカムメール
  • 使い方の説明メール
  • チュートリアル動画

こういった、スタート時の体験においては、Slackに相当なこだわりを感じる。登録したワークスペースへは認証メールをクリックするだけで入れるし、使い方を解説するBotが即時で自分を迎えてくれるしね。

ただし、あまりにも頻度が多いと邪魔者扱いされるので、そこの塩梅は考えたほうが良いだろう。

顧客が契約して製品を使ってくれるようになると、顧客は製品について知人に教えたくなるかもしれない。そこで、イベントを開催したり、製品を使っている顧客へインタビューしたり、インタビューをブログ記事にすると良いだろう。

オウンドメディアと呼ばれるコンテンツマーケティングで、すでに多くの企業が行っている取り組みだ。

こういったストーリーは、アドボカシー・マーケティングと呼ばれる。製品と、会社と、顧客にストーリーを演出し、長期的な利益を目指すものだ。

また、インタビューだけでなく、顧客に直接声を発してもらうのもオススメ。

専用のフォーラムを容易してもいいし、バイラルとなるハッシュタグを作成しSNSへ投稿を促すような、簡単なものでも構わない。

体験の共有は、とても強力である。

アドボカシー・マーケティングは、どのマーケ手法とも同じで、やり方によっては非常に有害なモノとなってしまう。

念の為説明しておくと、アドボケイトとは、ロイヤリティつまり忠誠心の高い顧客のことだ。

したがって、有効な手法として使うため、以下の点に気をつけると良い。

  • 積極的に意見を述べてくれるアドボケイトを見つける
  • 自社を支持してくれる人の貢献を高める
  • アドボケイトが効果的に動けるよう支援する

つまり、良いアドボケイトを集めることが重要となってくる。

良いアドボケイトは、

  • サービスをよく利用していたり
  • 高度な使い方をしていたり
  • SNSで好意的なコメントをしていたり
  • B2B市場で大きな影響力をもつ

などの条件を満たしている必要がある。これらは、ある程度データを見れば発見できるだろう。

全ての良い反応は、顧客自らが自発的に行っていなければならない。

行動経済学的にいうと、内発的動機がお金を得ると外発的動機に変わってしまうからだそうだ。

これは、「予想通りに不合理」という本にかかれている。この本はすでに読んでいるので、別の動画で紹介したい。

内発的動機にするため、感謝の気持ちは経験などにすることを推奨している。

ひとつ、サブスクビジネスで守るべきルールがあって、解約までの導線をシンプルにしておこう。解約には快く応じよう。

これはとても重要だ。

解約のしやすさは、信頼の証になる。顧客は特に理由なく解約するケースが全然ある。簡単に解約できることが分かって入れば、必要となったとき再度契約してくれる可能性が高い。

戻ってきたときに、めちゃくちゃ歓迎してあげると最高だと思う。

覚えてくれていたことに、顧客は喜ぶはずだ。

顧客とのかかわり合いが重要だと何度も述べている。

つまり、とても重要な部門がカスタマーサービスだ。対応のスピードや方法が悪いと、騙そうとしていると思われるかもしれない。

カスタマーサービスに関しては、顧客数の規模や業態によって、かなり変わると思う。

ここに関するアドバイスは、是非書籍を手にとって読んでみてほしい。

感想

ストックで売上を積み重ねていくサブスクリプションというビジネスモデルは、機能すると本当に強い。

企業の基盤が強い事業を展開しているSpotify、Apple、SalesFource、Zendesk、Adobe、Google、Netflix、Amazon、Microsoftなどは、全てサブスクリプションサービスを提供している。

そして、これらの企業は概ね顧客のことを考え、長期的な視点で戦略を組んでいる。

サブスクリプションでビジネスモデルを構築しようとするとき、毎月いくらで、顧客が何人で、売上いくら、というような考え方を安易に持ってしまうケースを稀に見る。

サブスクリプションの場合、企業や製品の価値は顧客の価値に比例すると思う。

したがって、顧客にどれだけ良い製品を提供し、アップデートし続け、サポートするかというように、長期的な視点で考えるのがとても重要なはずだ。

Keisuke Kuribara
株式会社Propagation代表取締役。興味対象は、ビットコイン、大麻、ウェブ、金融、生物、心理など。金融から健康、テック、音楽など様々な事について執筆しており、このブログは月間10万PV程度となっております。自身のアウトプットや知的好奇心を満たすことが主な目的です。お仕事の依頼や相談などお気軽にお問い合わせください。
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