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シリコンバレーで流行りのドーパミンファスティングに神経科学者が物申す

ドーパミン ファスティング健康
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クリブログ

 

シリコンバレーで流行りの健康法に、ドーパミン・ファスティング(ドーパミン断食)がある。

ドーパミン・ファスティングは、ドーパミンとして知られる脳の快楽物質を減らすことによって、脳を効果的に『リセット』するというもの。ファスティング(断食)と呼ばれることから、ジャンクフード、セックス、アルコール、SNS、スマートフォンの長時間利用などを削減すると、生活がより良くなると信じている。

中には、すべてのSNSやアイコンタクトを避ける人すらいるようだ。

シリコンバレーで流行りのドーパミンファスティングはオススメできない!

そして今、アメリカでの流行を受け、日本のメディアもドーパミン・ファスティングに関する記事を公開しはじめた。

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サンフランシスコの心理学者、Cameron Sepah(キャメロン・セパ)博士が『ドーパミン・ファスティング』と名付けたこのエクササイズは、今世界の注目を集めている。

では、ドーパミン・ファスティングは機能するのだろうか。

脳の報酬システムを研究している、レディング大学准教授のCiara McCabe氏が知識を共有してくれている。

ドーパミンは神経伝達物質であり、脳内で産生される化学伝達物質だ。運動や記憶、覚醒、報酬処理などの機能に関連する信号を、脳の周囲に伝達する。

例えば、ドーパミンが少なすぎるとパーキンソン病のような障害が起こり、筋肉の硬直、ふるえ、話し方や歩行の変化といった症状が現れる。

パーキンソン病の治療薬の1つにL-DOPAがある。L-DOPAは血液脳関門を通過し、ドーパミンに変換されることで症状を緩和する。

ドーパミンは脳の報酬系にも重要で、食べ物、セックス、ドラッグなどの一次報酬によって活性化される。重要なのは、脳の報酬系は時間の経過とともに「学ぶ」ことができるということだ。

甘いものを提供するカフェへ入り、スイーツについて考えるだけで、脳のドーパミンは活性化される。

このような報酬に対する期待は神経科学用語で「欲求」と呼ばれる。

うつ病の主な症状の1つは『快感消失(アンヘドニア)』である。これはすなわち、経験・体験への欲求、関心、喜びの欠如で、ドーパミン調節不全(ドパミン調節異常症候群)もこの障害と関連している。

ブプロピオンなどのうつ病治療薬は、脳内のドーパミン濃度を上昇させるよう設計されている。

つまり、ヒトの脳機能にドーパミンが重要な役割を果たしていると考えれば、ドーパミンを断つ必要は分からなくなるはずだ。

I Tried a 24-Hour Dopamine Fast, See How It Changed My Life

ドーパミン・ファスティングという考え方は、ドーパミンが病的な中毒行動に関与しているという仮説に基づいている。

前述したように、ドーパミンは欲求を支えている。

たとえば、麻薬中毒者が、もう薬を服用しないと言うとしよう。

しかし、薬物の手がかりが存在する場所(キッカケになる環境)では、脳の欲求システムが作動し、常習者は薬物を摂取したいという強い衝動に駆られる。

ドーパミン・ファスティングを行う人は、ドーパミン活性を減らすことで、不健康で望ましくない行動に対する欲求や渇望を減らすことができると考えている。

意味はあるのか

まずはっきりさせておかなければならないのは、たとえ可能だとしても、普通の日常生活に必要な脳内のドーパミンを減らすことは、勧められないということだ。

SNSなど特定の報酬を禁止するだけで、ドーパミンそのもののレベルを下げることはできないが、ドーパミンの刺激を減らすのに多少役立つことはある。

したがって、ドーパミン活性を減少させることは可能だ。

しかし、これを実現する鍵は、そもそも報酬を求めるきっかけとなるトリガーを減らすことにある。結局のところ、欲求や願望を引き起こすのは、こうしたトリガー、つまり手がかりにある。

このように、単に報酬を断つだけでは、脳が報酬を切望し、ドーパミンの活性化を止めることはできない。

またドーパミン・ファスティングが『脳をリセットする』というのは正しくない。それは、ベースラインが何であるか知る方法さえないからだ。

神経科学の観点からすると、今のところドーパミン・ファスティングは非常にナンセンスだといえる。

SNSに時間を費やし過ぎたり、食べ過ぎたりといった不摂生を減らしたい場合、まずは『不摂生したい』という欲求を引き起こす、環境要因にさらされることを減らそう。

たとえば、1人の夜にスマートフォンを使いすぎる場合、通知をオフにしてみよう。このようにすれば、ドーパミンは通知で活性化されず、スマートフォンを触りたいという衝動を引き起こしづらい。

また、週末夜に酒を飲み過ぎそうだと思ったら 、映画館など他の場所へ行くようにすると良い(ポップコーンは頼まないように!)。

不健康な行動は、薬物乱用の徴候と似ている。

身体的・精神的に害となることが分かっていても、その行動を継続してしまったり、止めようとすると、離脱症状(うつ病やカンシャク)を起こすこともある。

このような場合には、ドーパミンニューロンを刺激する元凶の削除へ取り組んでみよう。

参照:theconversation

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