2020-01-26 (日曜日)

SNSの利用を控えても幸福度は改善しないという研究結果

- Advertisement -クリブログ

デジタルデトックスやシリコンバレーで流行しているドーパミン断食など、デジタルデバイスの利用時間を控える試みは、とてもファッショナブルなモノになっている。このトレンドの根底にあるのは、デジタルデバイスを使うこと、特にソーシャルメディア(SNS)を利用することは、何らかの形で不健康であり、我慢すれば幸せで充実した人生を送ることができるかもしれないという仮説である。

さて、この仮説の実証結果はどうだろうか。

少なくともSNSに関しては、Media Psychologyの新しい論文が、どうも違うらしい事を示している。SNSと幸福の分野における数少ない実験的研究の1つで、研究者らはSNSを最長4週間やめても、私たちの幸福度や生活の質を改善することに何の効果もないことを発見した。

幸福
Photo by Pixabay from Pexels

SNSに関する過去の心理研究の多くは相関データに依存しており、利用における個人差が幸福とどのように関連しているかを調べている。デジタルメディアを毎日使っている世界では、コントロールされた実験を行うよりも、既存の利用パターンを見る方がはるかに簡単だ。

つまり、原因と結果を区別することも難しくなっている。

仮に、SNSの利用が幸福度を下げる事と関連していても、既に不幸な人々がSNSを頻繁に利用しているだけではないと証明することはできない。

研究の内容

カンザス大学のJeffrey Hall(ジェフリー・ホール)氏らは、SNSの利用を積極的に避けた場合に何が起こるかを調べることで、現状まばらな研究へ実験的な文献を追加することにした。

研究者らは参加者を5つのグループに割り当てた(利用するのはFacebook、Twitter、Snapchat、Instagram)。

  • 通常通りSNSを使い続けるグループ
  • 7、14、21、28日間全てのプラットフォームから離れるグループ

研究者は各参加者をフォローし、実験期間中、他人の投稿へ関与していないことを確認するためのアカウントを設定した。

4週間毎日、その日の終わりに参加者は様々な活動(食べる、働く、テレビを見る、インターネットを使うなど)に費やした時間の割合を記録した。また、幸福度、生活の質、孤独感を測定する短いアンケートにも回答した。

日常生活
Photo by Terrance Douglas from Pexels

研究者らは、利用を禁じられていたのにSNSを見てしまった人を除外した後、130人の参加者を残した。そして、すべての参加者のデータを統計モデルに入力し、禁欲日とコントロール日の間に幸福度の測定値に差があるかどうかを調べた。数値に差がある場合、どれだけの期間、利用を禁止したかを調べた。

しかし、SNSから何週間離れていても、大きな効果はなかった。研究は以下のように結論づけている。

「参加者が4つのSNSを自由に利用した日と利用しない日では、1日の終わりの寂しさ、幸福度、生活の質の点で区別できなかった」

この発見は、特に驚くべきことではない。

これまでに実施された他いくつかの研究結果は交錯しており、SNSの利用を控えることは、幸福の尺度に有意な影響を与えていなかった。

まとめると、『SNSの否定的な影響を報告する相関研究は、より厳密に精査されるべき』ことを示唆していると著者らは述べている。

この新しい研究には制限がないわけではない。サンプル数は大きくなく、可能性ある小さな影響を検出するのに、十分な参加者がいなかったことを認めている。

一方、大量のサンプルを見たときにのみ明らかになる小さな影響であれば、その効果は現実世界では実用的な意味を持たないかもしれない。

SNS
Photo by Kerde Severin from Pexels

おそらく最も重要なのは、何も投稿せずTwitterやInstagramのフィードをスクロールしたりと、SNSを受動的に使わないようにする手段がなかったことだ。また、この研究では、SNSをやめることに心理的なメリットがほとんどないことを示しているが、もちろん有意な結果が出る人もいるだろう。

まとめ

SNS利用と精神的健康の悪化を結びつける表現は誇張されていると、この研究は示唆している。もちろん、SNSを長時間利用することが良くない影響を与える可能性もあるだろうが、今のところ、幸福度が失われる事とは影響していないようだ。

Twitterをつい見てしまう僕は、なんだか少し救われた気分である。

参照:Research Digest


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Keisuke Kuribara
株式会社Propagation代表取締役。興味対象は、ビットコイン、大麻、ウェブ、金融、生物、心理など。金融から健康、テック、音楽など様々な事について執筆しており、このブログは月間10万PV程度となっております。自身のアウトプットや知的好奇心を満たすことが主な目的です。お仕事の依頼や相談などお気軽にお問い合わせください。

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