2020-01-26 (日曜日)

シェアリング電動スクーターは我々が思っているほど地球に優しくない

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前から僕は薄々感じていたのだが、シェアリング電動スクーターはそれほど地球環境に優しいわけではないようだ。環境に優しいという手口で普及を図るサービスを基本的に斜めに見ている筆者だが(大学でインフラ環境系を学んでいた)、The VergeによるとBirdやLimeもどうやらそうらしい。

環境不可が低減されていないというわけではなく、我々がマーケティングによって感じさせられているよりも地球に優しくないという調査結果が出ている。

環境に優しい系のマーケティングは、〇〇を食べると痩せるとほぼイコールだろう(僕の偏見)。

概要

シェアリング電動スクーターサービスを展開する企業は環境に配慮していることをアピールしたいと考えており、頻繁に利用者へ二酸化炭素排出量の削減と気候変動との戦いに役立つと喚起しているが、実際はもっと複雑である。

ノースカロライナ州立大学の新しい研究によると、シェアリング型の電動スクーターは、ほとんどの車と比較すると環境に優しいかもしれないが、自転車、徒歩、特定の公共交通機関など、他いくつかの選択肢よりは環境に優しくない可能性がある。電動スクーターに乗る人は、カーボンフリーの電気駆動スクーターに乗ることで、自分が正しい行動をしていると考える傾向にある。しかし、サービスの利用者は、スクーターの製造、輸送、メンテナンス、維持管理によって生じる排出物といった、分解した要素全てを考慮していない

本研究の責任著者で、ノースカロライナ州立大学で土木・建築・環境工学の准教授ジェレミア ジョンソン氏は、「利用者が見ることのできるライフサイクルのセグメントについて考えるなら、排気口がないスクーターは環境に良いと仮定するのは簡単である。しかし、一歩下がってみると、プロセスの中に隠されている他すべてのものを見ることができるのだ」と言う。

ジョンソン氏と彼のチームは、いわゆるドックレス(乗り捨て可能な利用形態)・スクーター業界の「ライフサイクル分析」を指揮することで、一歩下がって考察した。つまり、リチウムイオンバッテリーやアルミニウム部品のような素材の製造といった、スクーターのライフサイクルにおける各側面で関連する全ての排出物を調べたのだ。製造工程、スクーターを原産国(主に中国)から使用される都市に輸送するまで、ドックレス・サービスの特徴であるスクーターの回収、充電、再配布などである。

調査結果の結論

この研究の結論は、明白かつ驚くべきものだった。車を運転することが最も環境に優しい選択肢ではなかったが、電動スクーターに乗るよりもバスを利用する方が良く、また特に交通量の多い路線ではディーゼル車を利用する方が良い選択肢だったのだ。徒歩、自転車、電動自転車は、電動スクーターよりもはるかに優れていた

スクーターの走行距離当たりの温室効果ガス排出量は平均で200g強のCO2であるのに対し、平均的な自動車のライフサイクルでの排出量は400g強のCO2だった。つまり、スクーターに乗ることは自動車に乗ることよりも明らかに優れてはいる。

問題は、スクーター移動の1/3だけが自動車に取って代わるということ。ノースカロライナ州立大学のチームは、人々がどのようにスクーターを使っていて、どのような移動手段から電動スクーターに乗り換えているか知るため、ライダー(利用者)の調査を行った。調査結果はスクーター利用者に関する他の調査でも裏付けられているが、49%が自転車に乗るか徒歩で移動していた人、34%が車を利用していた人、11%がバスを利用していた人、7%はまったく移動しない人だった。

アメリカで供給される電力の約63%は化石燃料から生成されているにもかかわらず、各スクーターの充電に使用される電力の環境不可は非常に小さく、全体的な影響の約5%であることが研究者らによって明らかにされた。主な環境負荷を与える原因は、各スクーターの製造に使用された素材(主にアルミニウム)と、業者がスクーターを集めて毎晩充電する際に発生する炭素だった

問題の解決策

スクーターメーカー各社がすでに取り組んでいる、上記のような問題の簡単な解決策はいくつかある。1つは、夜間にスクーターを集めて充電するフリーランサーを減らすことだ。Limeは、「Juicer(車両を改修する労働者)」がスクーターを前もって予約できる新機能を導入することで、問題解決を実現しようとしている。これにより、Juicerがスクーターを取りに行くため出かけているときに発生する、不要な稼働量を減らすことができる。

また、スクーターブームの初期に投入された機種と比較し、長持ちするスクーターを作ることも環境負荷低減の一つの方法だ。

ジョンソン氏は、以下のように述べている。

「もし、スクーターメーカーが素材や製造の影響を倍増させることなくスクーターの寿命を延ばすことができれば、1マイル当たりの負担は軽減されるだろう。こういった施策を2年持続させることができれば、非常に大きな影響を与えるはずだ」

Jeremiah Johnson

スクーターメーカーも同じことをしている。Birdは最近、長持ちするバッテリーと長持ちする部品を備えた最新の次世代スクーターを発表した。Limeもまた、スクータービジネスの経済性を改善できる主張する新しいモデルを発表している。

しかし、スクーターに乗ることが最も環境に優しい選択肢だという主張は、まったく真実でない。スクーターメーカーは、少なくとも表面的にはその事実を認識しているようだ(理解していなかったら非常にまずい)。Limeは昨年、電動自転車とスクーターの全車両を完全に「炭素を含まない車両」にするため、サンフランシスコを拠点とする同社は新規および既存のプロジェクトから*再生可能エネルギークレジット(グリーン電力証書)の購入を開始すると述べた。

*グリーン電力証書とは、再生可能エネルギーによって得られた電力の環境付加価値を、取引可能な証書に(証券化)したもの、またはそれを用いる制度を指す。再生可能エネルギーに対する助成手法の一つである。グリーン電力制度、グリーン証書取引制度などとも呼ばれる。(Wikipedia

素晴らしいアイディアだと思うが(ただしカーボンオフセットの有効性については懐疑的な見方もある)、ドックレス・スクーター業界のビジネスモデルの主要な問題である、電気スクーターの収集にフリーランサーを使うことに触れていない。Limeは、最終的には収集プロセスでの排出量をカーボンニュートラルにしたいとしているが、現状はまだ計上していない。

まとめ

まとめると、電動スクーター自体は環境負荷の少ない最新機種に乗ることで良い選択肢となり得るが、ドックレス型のシェアリングサービスを利用することはより良くは無い。よって、便利だから利用するのは正しいが、環境に優しいと考え利用するのは正解でないだろう。

Kindle版が出たら、試しに『「地球温暖化」の不都合な真実』という本も読んでみたい。

参照:theverge


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Keisuke Kuribara
株式会社Propagation代表取締役。興味対象は、ビットコイン、大麻、ウェブ、金融、生物、心理など。金融から健康、テック、音楽など様々な事について執筆しており、このブログは月間10万PV程度となっております。自身のアウトプットや知的好奇心を満たすことが主な目的です。お仕事の依頼や相談などお気軽にお問い合わせください。
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