人間性を形成する上で関わってくる出生順序は、心理学で度々議論の的となってきた。最近の研究では、兄弟姉妹に対する順序が、人格に影響を及ぼすという考えに疑問が投げかけられている。

ただし、依然として出生順が重要である調査領域は他にあるかもしれない。特に、兄弟姉妹の数が多い家庭で育った子供は、言語能力が劣るようだという研究結果が出ているくらいだ。

だが、『Psychological Science』誌に掲載された最新の研究によると、出生順と性格は多くの人が考えているより、少し複雑だという。著者らは、年上の兄がいる子供の言語測定の成績が実際に悪いのは、その兄弟が兄である場合のみであるということを発見した。

親が子供に注げる時間や注意力は限られているため、兄弟姉妹の数が多ければ多いほど、親から与えられる情報は少なくなる。『親』は子供の言語能力発達に重要な役割を果たしていることから、兄弟姉妹の数が多いほど言語能力が劣るという理論は説明できる気がする。

PSL大学のNaomi Havron(ナオミ・ハヴロン)氏と同僚は、この効果が年上の兄弟姉妹と性別によって、どう影響されるかについて興味を持っていた。研究者らは、兄弟姉妹の年齢差が大きい場合や女の子である場合には、悪影響が少ないと考えている(悪影響というほどでもないが)。

想像してみると、年上の兄弟姉妹の方が言語能力が優れているので、幼い子供が言語を学ぶのに役立つ情報源となるかもしれない。また、女の子は男の子よりも高度な言語能力を持っている傾向にあるため、姉は妹/弟により多くの情報を提供するかもしれない。

研究

このような理論を検証するため、Havron氏らは子供とその母親を出生〜11歳まで追跡したフランスのコホート研究 「EDEN」 のデータを調べた。この研究では、2、3、5、6歳のときの子供の言語能力を測定している。

2歳のときの調査は、子供がどの言葉を発音できるか、母親が示しただけだった。その後の年齢は、子供が単語や文章を理解したり、読み書きしたり、絵に名前をつけたり、動物をリストにするなどのテストをしている。

研究者らは、兄や姉のいる547人を含む、言語テストを完了した1,276人の子どものデータを分析した。

発見

研究者らは、平均して年上の兄弟姉妹がいる子供は、そうでない子供より言語能力が劣っていることを発見した。また、研究前に考察していたように、年上の兄弟姉妹の性別は重要であった。

年上の姉がいる子供は、年上の兄がいる子供よりも言語能力が優れていた。なお、その後の分析で、姉のいる場合といない場合の言語能力に違いはないことが示された。一方で、兄弟間の年齢差は、結局言語能力に大きな影響を与えなかったようだ。

研究者らは、姉がいると子供の成績が向上する理由は、まだ明らかでないと述べている。兄よりも姉の方が言語能力は優れているか、包容力や養育力が高い可能性もある。だが、もう1つの可能性として考えられる事は、姉は兄よりも両親への要求が少ないことから、両親の注意が奪われにくいということである(すなわち、弟/妹へ親の注意が向けられる)。

理由が何であれ、研究者らは「よく知られている否定的な兄弟関係は、実際には『兄の影響』と考える方が正確かもしれない」と記述している。

まとめ

だが、兄がいるのは悪いことではない。

他の研究では、年上の兄姉がいる子供は、実際には年上の会話に参加するなど、言語発展における社会的側面はより優れていることが分かっている。また、この記事で引用された論文の結果は統計的に有意であったが、その影響の大きさはかなり小さく、フランス語を話す人のサンプルに限られていたことにも注意する必要がある。

文化、言語、経済状況、宗教、食べ物、教育方法などと人間の成長には数多くの因子があるので、ここで述べた研究と同様の結果が得られるかどうかはわからない。

研究結果を結論づけるのは単純なことではないため、あらゆる可能性を今後も探り、サンプルを増やしていくことが重要である。

参照:Research Digest

You May Also Like