「てんかん」は、通常筋肉が痙攣しているかのように見える虚ろな目つきから始まる。しかし、どのように始まったとしても子どもが「てんかん」と診断されたときは、家族にとって恐ろしい時間であることが多い。

アメリカでは約47万人の小児が「てんかん」を抱えて生活しており、処方できる抗てんかん薬は十数種類あるが、約30%の小児は反応しない。このような子供たちは、医療の専門家が難治性あるいは制御不能と呼ぶ「てんかん」を患っている。

タフツ大学サックラー生物医学大学院のChris Dulla氏は、研究室の博士研究員として小児痙攣と呼ばれる「てんかん」の研究に取り組んでいる。乳児が起こす痙攣は、発作を止めないと「難治性てんかん」など重症に発展してしまう。

近年、「てんかん」治療の分野ではカンナビジオール由来薬剤(CBD薬剤)の開発や遺伝子検査の台頭により、有望な進歩がなされている。こうした進歩が、「難治性てんかん」の子どもたちに治療の選択肢を提供する道を開いているのだ。

小児てんかんとは何か

「てんかん」の診断は通常、発作が24時間以上の間隔をあけて複数回起きた場合に行われ、医学的には脳に異常な電気活動が起きたと定義されているが、一般の人では発見が困難な場合もある。ただ「ぼーっと」しているように見えることや、乳児の場合は筋肉がけいれんすることもある。それ以外の場合は倒れたり揺れたりするので、発見は容易だ。

「てんかん」は遺伝性のこともあり、500以上の遺伝子がこの疾患と関連している。

最も一般的な小児てんかんである「若年性ミオクロニーてんかん(JME)」は家族から遺伝する傾向にあるが、JMEを有する個人の少なくとも50%は「てんかん」に関連する遺伝子の変異を有していない。このため、JMEの治療は困難である。なぜなら、治療法の指針となる変異がなければ、医師は発作を止める薬剤を見つける前に複数の薬剤を試験しなければならないからだ。JMEは難治性のこともある。

「てんかん」は、外傷性脳損傷、感染、発熱、後天性てんかんとして知られる自己免疫疾患によっても引き起こされる。約30%の人は、「てんかん」の原因が特定できない

「難治性てんかん」は、研究者や家族にとって悩みの種だ。通常、医師が複数の抗痙攣薬(ASD)を試しても効果がなかった場合に「難治性てんかん」と診断される。発作の頻度は減少するが、発作の発生を完全に止めることはできない。このような場合でも、小児には代替治療の選択肢と同様に薬物が処方される可能性がある。

てんかんの治療法

てんかん
Photo by JOSHUA COLEMAN on Unsplash

「小児てんかん」では、発作の重症度が時間とともに悪化し発達遅滞を引き起こす可能性があるため、発作を診断しできる限り早く止めることが特に重要だ。

多くのASDは、脳の興奮を低下させることによって作用する。しかし、ある人は時間の経過とともにASDへ耐性を持つようになり、処方箋が無効になることがある。この正確な理由は不明のままである。重度の副作用には、気分の変動、過敏性、視力障害、眠気などもある。

その他多くのASDも1日に複数回服用する必要がある。小児は日常生活に支障を来すため、治療を継続することが困難になるのだ。

しかし、薬が効かなくなった子供や「難治性てんかん」の子供には希望がある。

処方が増えている治療法の1つに、ケトン食療法がある。これは医学的に処方された厳格な高脂肪食で、「難治性てんかん」の小児に対する代替治療だ。研究者たちは、ケトン食がなぜ発作を止めるのか正確には知らないという。脂肪と炭水化物を『4 : 1』の比率で摂取すると、エネルギーを得るため炭水化物の代わりにケトンと呼ばれる分子を燃焼させると考えられている。このダイエットは効果が出るが、調理は非常に時間がかかり、子供は人気のスナック食品を食べられないので、殆どの場合ケトンダイエットに固執しない。

てんかん治療の進歩

遺伝子検査技術の進歩により、「てんかん」を持つ小児において多くの遺伝子突然変異が同定されるようになった。これにより、医師は特定の変異を標的とするASDを選択することができる。遺伝子解析はまた、「てんかん」に関連する未発見の突然変異を同定し、新薬開発へ導くのに役立つ可能性がある。

最近、CBD誘導体の使用が「難治性てんかん」の治療として人気を得ている。これらのCBD産物は大麻植物に由来し、精神活性化合物(THC)を含まない。てんかん発作の軽減に有効であることが研究で示されているが、米食品医薬品局(FDA)が「小児てんかん」の治療薬 「エピジオレックス(Epidiolex)」 を承認したのは昨年のことだった。CBDの正確な作用機能は不明であるが、一般に発作を止めるために脳細胞活性の阻害を増加させると考えられている。

エピジオレックスは現在のASDと比較して重篤な副作用が少なく、2種類の「難治性てんかん」の発作を減少させるのに有効だ。同様の薬剤であるH2CBDは、2019年の研究でもCBDと同等の有効性で発作を軽減することが示されたが、この研究はラットを対象としたものでありったてめ「難治性てんかん」の小児に効果があるかどうかを明らかにするには、さらに多くの研究が必要である。

今年、FDAは以前に承認されていたASDの新薬を承認した。ミダゾラム(Midazolam)はすでに成人用の錠剤として承認されていたが、現在では青少年用の鼻スプレーとして利用できる。ミダゾラムは、「難治性てんかん」の小児に起こりうる発作群を治療する。これは、米国で20年以上ぶりに「てんかん」疾患に対して承認された新薬だ。

最初のASDが開発されてから100年以上が経過しており、「若年性てんかん」の治療はさらに多くの研究開発が必要である。薬で治る子供もいるが、生涯にわたって薬を服用する必要がある子供もいる。

しかし、遺伝子検査の利用が増えエピジオレックスのような新薬が承認されたことで、いつの日か発作がなくなり、「小児てんかん」を治すことができるかもしれないという希望があるのだ。

参照:theconversation

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