皆さんがお使いのウェブブラウザは何だろう?
おそらく、ほとんどの人がGoogle Chromeだと思う。現に、僕も日常使いをしているのはChromeだ。
以前ほどPCのメモリを食わなくなったため高速にロードするようになり、またGoogleが提供しているブラウザだけに、あらゆるサービスとの互換性が高く使いやすい。
Google Chromeの場合、ウェブサイトで収益を立てようと考えたときには、主に広告以外の選択肢がない。これは、ブログからメルマガに送客したり、別事業への窓口となるウェブサイトではなく、単純にブログや動画でコンテンツを発信している場合のことを指している。
問題点として(問題ではないが課題程度)、広告を出稿した広告主はプラットフォームへ当然お金を払うわけだが、パブリッシャー(コンテンツ発信側)とGoogleの力関係は、圧倒的にGoogleが強い。これは、Google Adsenseで収益化を図る側よりも、お金を払ってくれる広告主を大事にしたいと考えるのがビジネスとして当然だからだ。
だがしかし、この関係性を変えようとしている企業がある。ユーザーが直接パブリッシャーへチップを送ったり、またブラウジングしているだけで報酬がもらえるというウェブブラウザだ。
Braveとは
プライバシー保護と広告収益の公平化を目指す『Brave』というウェブブラウザがある。これは、広告主が出稿した広告を見ることで、ブラウジングを行うユーザーも収益を得ることができるというもの。

支払われる通貨は、Basic Attention Token(BAT)というBraveブラウザのトークンだ。
デフォルトでアドブロックが搭載され、ユーザーが任意で少量のオプトイン広告を見る設定を加えることで、報酬がもらえるというロジックである。重いスクリプトを読み込まないため、Google Chromeと比較し、ページの読み込み速度が速いのもメリット。

なお、現在日本のユーザーは報酬を貰える機能はオンになっておらず、アメリカやカナダでテストされている段階だ。
Braveに関する詳細な記事は、以下を確認してもらえればと思う。
ブログを書いていたりYoutubeチャンネルを運用しているなら、読者からチップをもらいたいと考えるのは自然である。そこで、読者から直接トークンをもらえるクリエイターになる方法をこの記事では紹介したい。
Brave Rewards Creaters
Braveの紹介記事を引用して紹介したい。
「Braveブラウザを使用しているあなたの視聴者(読者)は、Brave Rewardsを通じてウェブを閲覧している間、あなたにお金を寄付したいかもしれません。確認済みのコンテンツ作成者としてBrave Rewardsに登録するだけで、投稿からのチップを開始できます」
要約すると、『Brave Rewardsにウェブサイトを登録することで読者からチップを受け付けられますよ』、ということだ。
これまではウザいくらいに広告を設置しなければならなかったコンテンツは、自分のコンテンツに愛着を持っている読者から直接報酬を得ることができるのだ。
現在は希望的なシナリオなので、今後どうなるかは世界中のユーザー次第だろう。
すでに、大手オンラインメディアの<XXL>、<Vice(ヴァイス・メディア>、<The Washington Post(ワシントン・ポスト)>、<The Guardian(ガーディアン)>、<Coindesk(コインデスク)>、<Barrons(バロンズ)>などはBrave Rewardsへ参加している。
どのように機能するか
さて、このBrave Rewardsはどのように機能するかを簡単に解説しよう。
1.ユーザーはウェブ閲覧で報酬を獲得できる
Brave RewardsはBasic Attention Token(BAT)に基づいている。Braveブラウザを使用する人は、プライバシーを重視した広告を見ることでトークンを獲得できる。
2.お気に入りのクリエイターにトークンを送れる
購読者、フォロワー、読者は、毎月自動的に一定額をコンテンツ作成者にチップすることもできるし、選択した金額で一度だけチップを渡すこともできる。
3.Brave Rewardsに認定コンテンツ作成者として登録する
検証済みコンテンツ作成者として登録すると、コンテンツ作成者のダッシュボードにアクセスし、すべての報酬を管理できる。また、紹介リンクへのアクセスも可能になり、より多くのトークンを獲得することができる。
4. ダッシュボードでチップを集約する
登録してダッシュボードにログインすると、Braveの パートナーであるプロバイダー『Uphold』を使用し、獲得したトークンを自動的に選択した通貨に変換できる。
Upholdアカウント
報酬を受け取れるのは良いが、受け取ったBATトークンはどこに行くのか。
それは、上述した『Uphold』というプロバイダーである。Upholdはウォレットやエクスチェンジ機能を持つサービス。あまり日本では知られていないが、非常に高機能で『まとも』なプロバイダーだ。
Upholdの機能
UPHOLDには、以下のような機能がある(*は近日公開)。
- ウォレットを銀行口座またはデビットカードにリンクできる
- 主要な暗号通貨とフィアット通貨の間でシームレスな交換できる
- 7つの暗号通貨ネットワークで任意のウォレットと取引できる
- 3〜10%の利息リターンを得ることができる
- *暗号通貨を低金利で資金調達することができる
- *残高を物理カードと仮想カードで決済できる
要約すると、すごいサービスだ笑。
取引機能が搭載されているので、きちんとサービスにアクセスする場合、KYC情報を提出する必要がある。以前、「海外取引所へ本人確認情報を気軽に送るのは今すぐやめよう」という記事を書いたが、Upholdは大丈夫。昔からあるサービスかつ、現時点で世界中に100万ユーザーもいる実績ある事業者だ。
シンプルなインターフェイスのアプリもあるのでありがたい。
登録
登録方法に難しいことは何もない。
ユーザー名、パスワード、アクセスしている国などを記入するだけ。詳細は、登録が完了したら行えば良い。
右上の「Sign up」をクリック。

メールアドレス、パスワード、個人 or ビジネスアカウントの選択、プレスの購読、利用規約への同意、という各項目をうめる。

すると、以下の様にダッシュボードが現れる。

面白いのが、暗号通貨とアメリカドルやユーロ、日本円だけでなく、香港ドル、オーストラリアドル、スイスフラン、中国元、シンガポールドル、フィリピンペソなどの法定通貨、さらに金、銀、プラチナといったコモディティを取引できるところ。
単純に、uphold(U)をcoinbase(C)、Revolut(R)、Robinhood(RH)と比較すると以下のような機能の違いがある。
U | C | R | RH | |
Fiat | 23 | 3 | 25 | 1 |
Crypto | 9 | 8 | 5 | 6 |
Commodity | 4 | 0 | 0 | 0 |
Pair | 1,000+ | 16 | 100+ | 12 |
blockchain | 7 | 5 | 0 | 0 |
○ | × | ○ | × | |
Recieve | ○ | × | × | × |
Rating | 7.6 | 1.4 | 7.2 | 7.4 |
アカウントを作っておいて損のないサービスだ。
Brave Rewards Creatersへ登録や認証
では、Brave Rewards Creatersへ登録していこう。
流れとしては、以下のような3ステップになる。
- Brave Rewardsのアカウントを作成
- ウェブサイトを追加
- Brave Rewardsにウェブサイトを認証させる
登録
右上の「Sign up」をクリック。

登録するメールアドレスを入力。くれぐれも、セキュリティ上問題点があるのでYahoo!メールやキャリアのメールアドレスは使用しないように。

メールアドレスを入力すると、指定したメールアドレスまで承認リンクが送られる。送られてきた承認リンクをクリックすると、以下のようにダッシュボードが表示される。
この時点で、便利な二段階認証サービス『Authy』を使用して二段階認証を設定していこう。

Upholdと連携
左下のブロックに「Your Uphold Wallet」と記載された箇所がある。「Connect to Uphold」で先程登録したUpholdのアカウントとリンクさせよう。
以下のような画面に遷移するので、認証する。

認証が完了すると、「Connect to Uphold」が「Visit Uphold Dashboard」に変わるはずだ。
チャンネル(コンテンツ)を追加
ダッシュボード下部にある、「Add Channel」から自身のウェブサイトを登録していく。

Youtube、Twich、Twitter、Reddit、VimeoなどはBrave Rewardsとなっているので、こちらにチャンネルがある人は、すぐに利用できる。
ウェブサイトに追加する場合は、Websiteを選択して次に進む。

ドメインを追加。

WordPressで作成されたウェブサイトはプラグインを使用し、簡単に認証できる。ただ、僕は余分なプラグインをインストールしたくないため別の方法とっている。
別の方法を取る場合、「Comple Verification Later」をクリックしよう。

チップが送られた際の受け取り通貨を選択できる。デフォルトは「BAT」になっているが、BTCなどに指定することも可能。これが、上述したUpholdの交換機能が活きるところだ。

認証させる
では、ウェブサイトを認証させていこう。
2つの方法があり、
- .well-knownディレクトリにダウンロードした「brave-rewards-verification.txt」をアップロードするか
- DNSレコードへ指定のTXTを登録するか
である。
オススメは.well-knownディレクトリにアップロードする方らしいので、筆者は前者を選択した。

①「Download」と書かれたリンクをクリックしファイルをダウンロード
あるいは、
②File Contentにあるテキストをコピーする。

ダウンロードしたファイルは、サイトが表示されるディレクトリに.well-knownを作成し、.well-knownディレクトリの中にbrave-rewards-verification.txtをアップロードするだけ(①、FTPクライアントを使用)。
FTPを使用する場合は①の方が楽。
コマンドラインの場合は②となり、SSH接続した先から、
$ mkdir .well-known $ cd .well-known $ touch brave-rewards-verification.txt $ vi brave-rewards-verification.txt
でコピーしたテキストを「brave-rewards-verification.txt」にペーストしてあげれば良い。

ここまで出来たらダッシュボードに戻り、「Verify」をクリックした後にダッシュボード上部へ「Channel verified」が通知されたら成功。

ダッシュボード下部に、チャンネルが追加される。

バナーの編集
「Tipping Banner」をクリックすると、チップするときのバナーを編集できる。

アイコンとヘッダーに画像をアップロードすると、TwitterやFacebookのように自身のアカウントらしさを作り出せる。ほか、チップを受ける際のタイトルや説明、チップ金額(刻み)を指定することも出来る。

認証後
Brave Rewardsへ登録し、少し時間を置くと承認ステータスが更新される。
以下のようにBraveウォレット(△)へチェックマークが付くと、Braveに認証されたコンテンツであることを意味する。
ちょっとしたアピールになるかも?

I’m 『Braver Verified Creater』…!!!!!!!!

まとめ
Brave Rewardsのクリエイターになり、チップを受け取り収益化するまでの手順を解説してきた。
広告だけではない、あらたなウェブ媒体の収益構造として非常に興味深い。本当に、「BATトークンでなければいけないのか」という疑問は残るものの、うまく機能すると良いなと思う。

後に、「もっと読むにはトークンを30円分送金してください」というような構造にまでアップデートされたら、さらに面白いし確実な収益手段となるはずだ。
マイクロペイメントの領域で暗号通貨はどこまで普及するのか、今後も各プロジェクトの動向やアップデートを追っていきたい。