Amazon Flexのドライバーは規約違反「Bot」で多く仕事を得ている

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Amazon(アマゾン)はアメリカに本部を置いているので、基本的に公開されるプログラム(サービス)はアメリカのほうが早いです。

2015年に開始された米Amazon Flexは、日本でも2019年にローンチされました。

したがって、4年前からあるアメリカの事情を知るのは、非常に重要でしょう。

そこで、CNBCが報告しているアメリカの事情について紹介します。

競争に勝つための自動化戦略

多くのギグエコノミー・ワーカーと同様に、Amazon Flexのドライバーは、アプリを開くことから一日を始めます。

Flexのアプリは、ドライバーが自分の地域で荷物配達の仕事を見つける場所です。

ドライバーはアプリにログイン後、「ブロック」と呼ばれる配送シフトが画面に表示されるまで、大きなオレンジ色の更新ボタンを繰り返しタップする作業に入ります。

ブロックが表示されると、すぐにドライバーは利用可能なシフトを獲得するため、ライバルのワーカーと競います。

ブロックをスワイプし、画面の「受け入れる」ボタンをタップすれば、数秒でシフトを要求できるという仕組みです。

新しいシフトは一見ランダムな間隔で表示され、スワイプやタップの速度が十分でなければ、ブロックは消えてしまいます。

何百人ものドライバーが、一度に数ブロックを奪い合うため、ときに競争は熾烈なものになります。

Uber Eatsの配達員をイメージするといいかもしれないですね。

この熾烈な競争を勝ち抜くため、一部のFlexドライバーは、ブロックのタップを模倣するハードウェアやプログラム(Bot)を使用し、仕事獲得の確率を高めています。

また、BotはFlexアプリに存在するフラストレーションを取り除く効果もあります。

Amazon FlexにおいてBotを使うことは、厳密に言えば詐欺的行為で、Amazonのポリシーに反しています。

しかし、多くのドライバーにとって、Flexを価値あるものにする、つまり収入をあげる鍵はBotにあるのです。

2015年にローンチされたAmazon Flexは、一部のドライバーにとっては今でも脇役ですが、一部のドライバーにとっては主要な収入源の1つになっています。

日本版のAmazon Flex

このプログラムは、一般ドライバーが自分の車で荷物を配達するという仕事で、アメリカにおいては約50都市で実施されています。

ドライバーはブロックの種類に応じて、時給18〜25ドル(約2000〜2700円)を受け取りますが、独立した契約者として、ガソリン代、通行料金、メンテナンスなど、車に関連するあらゆる費用は自分で負担します。

Botに作業の一部を任せることで、ユーザーはただの人間より、速くブロックを入手できます。

しかし、サービスの利用規約では、プログラムやスクリプトの使用が禁止されているため(測量、操作、データマイニングの目的で)、ドライバーはアプリの使用をブロックされると、Flexの仕事を受け取ることができなくなる可能性があります。

また、Amazonがアプリの利用を停止させるリスクもあるのです。

リスクはあるものの、FlexドライバーにとってBotはますます一般的なツールになってきているそうです。

Flexのドライバーによると、多くの人はシフトを掴むことの、激しく予測不可能な性質に不満を募らせたり、単にもっとお金を稼ぎたいと思ったりしています。

彼らの中には、Amazonからの報復を恐れ、匿名を条件に話した者もいました。

「彼らのビジネスモデルは、基本的にロブスターのバケツに魚を放り込むようなものです」と、元FlexドライバーのJonathan Lee Provost氏は述べています。

「私たちは皆、食事のために戦わなければならず、文字通り、ブロックが見えるまで毎秒数回、ノンストップで手で叩かなければならないんです」

Jonathan Lee Provost

Amazon Flexのドライバーであり、ギグエコノミーに関する動画を投稿するYouTuberのChad Polenz氏によると、ドライバーは近所にいる他のFlexer(利用者)のためFacebookグループへ参加しており、シフトが掲示されると、グループのメンバーに警告しているとのことです。

フロリダでFlexを使っていたPolenz氏は、Amazonは通常、アプリの新しいシフトを10:30〜11:30 AM、2:30〜4:30 PM頃にドロップすることを知ったそう。

「アプリを開いても、何かがそこにあるという保証はありません。まったく予測不可能ですよ」

Chad Polenz

Amazonの広報担当者はCNBCに対し、Botの使用を禁止していると述べています。

「仕事を受け入れるためにサードパーティのツールを使用することは、不公平な利点を生み出し、我々のポリシーに反しています。結果として、Amazon Flexプログラムから削除されることがあります」

人間より速い動作

すべてのBotが同じように機能するわけではありません。

『0Flex』と呼ばれるプログラムは、ユーザーのデバイス上のFlexアプリと、Amazonのサーバー間のネットワークトラフィックを分析するスクリプトを使用します。

スクリプトは、新しいブロックが使用可能であることを検出すると、他のユーザーへ公開される前にブロックを取得できます。

ドライバーは、0Flexのスクリプトへアクセスするために500ドルを支払います。よって、ドライバーの間では、比較的コストのかかる方法の1つとして有名だそうです。

Flexのドライバーの1人は、CNBCの取材に対し、故郷のマイアミで仕事を得るために、さまざまなBotを使っていると話しています。

彼は、既存スクリプトの利用料金が高すぎるため、Google Play Storeから20ドルでダウンロードできる、『Flex Utility』というサードパーティーアプリを使い始めたそうです。

Flex Utilityは、Android端末のアクセシビリティ機能を使用し、Flexアプリ上にオーバーレイされた仮想ボタンを作成します。

仕組みは、Flexアプリをバックグラウンドで更新し、ユーザーの検索条件と一致しないブロックをフィルタリングしながら、ボタンを適切なブロック上に配置するというもの。

ドライバーは、集荷センター、時間帯、ブロックの種類に基づいて、どのブロックを取るかを指定することができます。

匿名を条件に取材に応じたFlex Utilityの開発者によると、このアプリはブロックをフィルタリングしたり、選択したり、スワイプしたりできるので、「人間は少なくとも数秒はかかりますが、数ミリ秒で稼働する」と話しています。

Flex Utilityの開発者は、ユーザーがFlexアプリのFlex Utilityボタンを手動でクリックしなければならないので、Amazonの利用規約に違反していないと主張しています。

Flex Utilityを使用している2人のFlexドライバーは、ツールを使用した時点でAmazonにアカウントを停止されたことはないそうです。

また、ボタンをタップする物理的な動作が自動化される、「autotappers」 や 「block grabber」 と呼ばれるデバイスもあります。

Tinderの自動スワイプデバイスに発想は近いですね。

ユーザーは2本のケーブルをFlexアプリ内のリフレッシュボタンとブロックが表示されている場所に留めます。次に、デバイスが電源に接続されると、スマートフォンのタッチスクリーンセンサーがタップを認識します。

ドライバーは通常、50〜150ドル(5400〜16000円)のデバイスをオンラインで購入することができ、それはAmazon自身のウェブサイトでも入手できます。

なお、デバイスはFlexの利用規約に違反しているのも事実です。

マーケットプレイスで「auto clicker(自動クリッカー)」と検索すれば、「bot auto swiper」というタイトルを含む、いくつかの製品が表示されます。

製品説明にFlexに関する記載はないこともありますが、多くのレビューで、「このデバイスはブロックを取得しやすくなるよ」と記されているのです。

ドライバーによると、一見ハイテクなデザインにもかかわらず、この種のハードウェアデバイスは、常に機能するわけではないそう。

Polenz氏はFlexの他にも、Lyft、Instacart、Doordashへの注文の配達など、いくつかの仕事をしています。

彼は、InstacartとDoordashから多くの仕事を得ているため、Flexは自分にとって「バックアップ」として考えているとのことです。

多くの問題

Botのおかげで、ドライバーは需要の高いブロックで仕事を獲得できる可能性は上がります。

Flexに加えて、アプリはWhole Foods、Prime Now、Amazon Freshの注文を配達するパターンもあります。

これらのブロックは、パッケージ配送とは異なり、顧客が注文にチップを追加できるため、他の仕事より価値が高いと考えられています。

ドライバーは、BotにWhole Foods、Prime Now、Amazon Freshも利用し、他ドライバーよりも早く多くブロックをかき集めるよう指示します。

Flexのアプリは、80キロメートル離れた倉庫で注文された商品を受け取るよう指示できるので、ドライバーはブロックを近くの倉庫に限定するため、Botを使用します。

長時間の走行は、時間のロスと車両の摩耗を意味します。仕事が早く終われば終わるほど、次のブロックへの移動も早くなるわけです。

Botの利用増加に対応し、AmazonはFlexアプリのリフレッシュレートを下げたとドライバーは考えています。

複数のドライバーがCNBCに語ったところによると、ブロックをあまりにも早くクリックすると、AmazonはワーカーがBotを使っていると検知し、一瞬ソフトブロックすることで、一定期間、新しいシフトが見られないようになるそうです。

開発者たちは、Botを検出しにくくする方法を見つけました。

多くのアプリでは、ユーザーがデバイスをクリックする頻度が指定できます。つまり、デバイスのタップ速度を遅くする設定も追加したというわけですね。

Flexに関わるすべてのメンバーが、より多くのシフトを得るため、誤魔化す意図のあるドライバーを評価しているわけではありません。

AmazonがBotを厳しく取り締まっている中、一部のドライバーは誤ってBotを使っていると表示されたそうです。

また、Botを使ってブロックを取得しないドライバーにとって、アプリをリフレッシュできるのが1分あたりの数回しかないため、仕事を得るのが難しくなっています。

Flexの元ドライバーであるOmar Montes氏によると、2017年に初めて注目されて以来、Botはずっと洗練されてきたとのことです。

今では、多くのドライバーがスクリプトにお金を払っており、「人々がアプリを作って裕福になる市場」を生み出しています。

Montes氏は、「もはや平等な競争の場とは感じられない」と語っています。

「ブロックが利用可能になると、スマートフォンで通知を受け取りますが、すぐにすべて消えてしまうんです。プログラムには、太刀打ちできませんよ」

Omar Montes

日本でのAmazon Flex市場がどのようになるか予測するのに、アメリカ市場を見てみることは参考になるはずです。

参照:CNBC

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